またまたお久しぶりです。


前回の更新から1年近く空いてしまいました。


過去の更新ネタは近況の報告でしたが、今回は最近の読書ネタでも。


年明け辺りから自分の研究と並行して夏目漱石の『坊っちゃん』と『虞美人草』


を読んでいました。

今回は『虞美人草』について


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これまで漱石は『草枕』を読んでいましたが

那美とは異なる女性の描かれ方には少々驚きました。


那美を見て思うのは日本人的な美しさ。

藤尾はまさに魔性の女ですね。


『虞美人草』の評価に関しては結構分かれるところですね。

アマゾンなどで口コミなどを読んではいたのですが

やはり表現が難しい。

『坊っちゃん』はあれほどスラスラ読めたのに

詩的な表現、難解な漢語?みたいなのがたくさんあって

理解に苦しみました。

しかし、それでも読み終わって感じたのは

「面白い』

でした。

そう感じさせるのは何なのでしょうか。


冒頭の比叡山を登っているときの甲野欽吾と宗近一との

やりとりなどは少し退屈でした。


しかし、甲野の妹(義理?)藤尾が現れ

小野や宗近の妹、糸子、井上やその娘、小夜子などを

取り巻く関係が明らかになると一気にスピードアップ。


結末の藤尾の死はやはり唐突すぎる感じがしますが

私はこれでも良かったのかなと考えます。

George EliotのAdam BedeのHettyや

The Mill on the FlossのMaggieの死など

19世紀の英文学作品にはこういった女性の死の

描き方が多く散見されます。

こういう物語の終わらせ方も漱石の女性の描き方の

一つなのでしょう。


ただその分、読者にストレスを与えることにも

なるのでしょうが。

因果応報的に堕ちていく藤尾を描くことも出来たでしょうが

そういうのは漱石の描き方ではないような気もするのです。


久しぶりに読んだ漱石。

面白かったです。