クラシトクスリ(仮)第二弾

お餅と薬学

お正月も近いということで,今日はお餅について
半ば無理矢理ではありますが,薬学につなげて書きたいと思います.

製剤学研究室に所属している身としては
こういう半固形のものをみてしまうと軟膏の話に結びつけるしかないと思うのですが,

薬学では,軟膏の挙動を理解するために
物質の粘度や流動性について学びます.
アンドレードの式や粘弾性モデル,ニュートン流動などなど
簡単に学びます.
ここらへんを掘り下げて学べるかは学生の努力次第です.
私立では名前を覚えたら終わりな学生が多いです.

しかし,医薬品を製造する上で粘度というファクターは非常に重要なのです.

例えば,肝動脈塞栓療法を聞いたことがある人がいらっしゃるかもしれません.
肝臓にできたがん細胞に栄養を供給している血管を塞いで,
兵糧攻めにしようというものです.

健康な細胞も死んでしまうじゃないの?
と思った人,鋭い
実は肝臓に伸びる血管には門脈という小腸から伸びる血管があります.
がん細胞は正常細胞と比べ,肝動脈から栄養を得ている割合が高いので,
ある程度選択的にがん細胞だけに効果があるということです.

この治療法に粘度がどう関係するか

塞ぐことを想像すれば当たり前ではあるのですが,
水(粘度8.9×10^-4Pa・s/25℃)のようなサラサラな液体を注入したところで血管は塞げません.
(1Pa・s=10P(ポアズ)などという単位もあるので注意。)
塞ぐにはドロドロした油を使います.
塞栓に使うリピオドールの粘度は(6.1×10^-3Pas)と一桁大きいのです.
さらにゼラチンというコラーゲンを主成分とするスポンジ(お餅)をつめます.
この大きさがだいたい1mmから2mm.
血管は最小で7μm(赤血球1個分)なのでそれより非常に大きいですが,
これは,お餅がのどにつまる要領です.
のどに詰まると空気が流れないように,血管にスポンジがつまると血液が流れなくなるわけですね.
1μmは1mmの1000分の1なのでお餅よりもつぶれているイメージになります.

ここらへんのミクロの長さの単位や感覚も薬学では非常に大事で
感覚的にとらえられるようにならなければなりません.

以上,お餅と薬学でした.