優しい先輩が怖くなったとき。
6月になりました。
あと1か月もすれば、夏の甲子園大会の県予選が各地で始まります。
ちょうどいまは、各チームともベンチ入り(登録)メンバーが決まって
仕上げモードに入った時期ではないでしょうか。
県予選のベンチ入りメンバーは、県によって違いはありますが
20人弱くらいです。わたしのころは18人だったと思います。
当時のチームは1-3年生合わせて40人くらいいました。
各学年15人程度でしょうか。
仕上げモードの時期になると、
練習はベンチ入りメンバーが中心になります。
中心じゃないですね。ベンチ入りメンバーのため“だけ”の練習。
3年生のなかでも、練習のお手伝い役になる人が出てきます。
わたしが2年生のとき、3年生のなかに
ベンチ入れない先輩が数人いました。
彼らはメンバー発表の翌日から、自分の練習をしません。
バッティングの時間にはバッティングピッチャーを、
守備練習の時間にはノッカーやボール拾いを、
練習試合のときには審判やスコア付けをしていました。
誰から指示されることなく。当然のように、です。
キャッチャーだったわたしはあるとき、
投球練習前のブルペンを地ならししていました。
そこに3年生の先輩が来てこう言いました。
「それは俺がやるから、早くピッチングを始めろ」。
先輩が「俺がやるから」なんて言うのは初めてです。
びっくりして「はい」と返事するのがやっとでした。
当然のことながら練習にはピリピリした緊張感が高まって、
求められる内容も高度になっていきます。
練習中の檄は厳しくなりました。
いちばんきつかったのは、「それがオマエの全力か!」。
やさしい先輩が多かったけど、あの時期のこの檄は怖かった。
レギュラーも補欠も、上級生も下級生も、
「何でオレだけ・・・」という気持ちが少なからずある時期です。
プレッシャーを楽しめなんて、口で言うほど簡単じゃないしね。
みんないろいろな想いを封じながらボールを追いかけている。
そこでチームとしてひとつになれるかどうか。
勝ち残っていくための大事なポイントなのかもしれません。
泣いても笑っても、あと1か月。
あれもこれもやるな、課題にはシンプルに取り組め。
焦るな、笑え。
3食食べて、風呂入って寝ろ。
水分補給を忘れるな。
チームみんなの健闘を祈る。