ぎくっ、となって鬼十郎が、振り仰ぐと―。
一間のむこうに、異風の姿が、湧き出たように、
ひっそりと、たたずんでいた。
純白の二重の着流しで、紋は真紅の水おもだが、
帯も純白で、刀も脇差も、白柄白鞘である。
「貴様っ!何者だっ」
「おぬし、卑怯者だな」
「うぬ、網笠を取れいっ!」
瞬間、鬼十郎は、「うっ!」
と唸って、大きく目を剥いた。
水も滴る―その形容は、この異風の人物
のためにつくられたかと思われる。
白晳典雅の美貌は、粧をこらした歌舞伎役者といえ
ども遠くおよぶまい。
「名乗れっ!」
「姓は源氏、名は九郎―覚えて置いてくれとはたのまぬ」
柴田錬三郎作
「源氏九郎颯爽記」
この作品を知ったのは
TVで中村(萬屋)欽之助が演じた
41年度の映画をたまたま観たからだった
(原作でいうと「続編・花の幻」にあたる)
しゃべり方といい、物腰といい、姿見といい、
正に、自分の思い描いたヒーロー像そのものだった
あまりものカッコよさに見入ってしまった
そう、例えるなら
南斗紅鶴拳のユダが
南斗水鳥拳のレイの華麗なる技に
見惚れるがごとき
誰か1人、好きなヒーローを挙げろ
と言われたら自分はこの源氏九郎を挙げる
自分が持ってる小説は春陽文庫から出たもので
正編と続編が1冊になっている
講談社のだと2冊に分かれて出ている
では、ストーリー
箱根山中、火焔剣を携え三島明神社へ急ぐ
剣客・大坪左源太
そこに怪浪人・仙藤鬼十郎の襲撃を受けたおれた
その時姿を現したのが源氏九郎
火焔剣には対となる水煙剣があり
この2つが揃う時秘宝の謎が解き明かされる
秘剣揚羽蝶で源氏九朗が悪いやつらを切り捨てる
痛快娯楽時代劇小説だ

まだDVDになってない
TV放送からのもの
この前に33年と34年にも映画化
33年の作品はDVD化されて自分の手元にある