正月のお餅が無くなる頃、私の里では、寒餅をつきます。

 

多くは白餅ですが、中には、青のり、海老、豆、を入れてつき、つきたての餅はその場で頂きましたが、多くは「カキモチやアラレ」に加工しました。

 

加工するのは、夕食後の女性の夜なべ仕事で、加工の後のカキモチなどは、外気に触れぬよう、屋内に蓆を敷き、その上に数日間陰干しをします。

 

その量が多いため、場所を取られ、農家作りの我が家でも、家人は寝所を取られ、隅に追いやられる始末でした。

 

干しあがりますと、土甕(大型の土器)に保存し、おくどさん(竈、ヘッツイさん)に土の炮烙(素焼き土製の平たい炒り鍋)を乗せて炒ったり、油で揚げたりして頂きます。

 

その作業中は、屋内にお餅の焦げた臭いが漂い、とても食欲をそそります。

出来上がった製品は、湿気が来ないよう、別の土甕に入れて保管します。

 

単純素朴な風景ですが、そんな風景のある農家に育ちました。