愛する羊飼いが殺され、その事件解決に向け立ち上がった羊たちの物語である。
この映画は機内映画にもってこいの映画だ。何も考えずに楽しめる、家族全員で安心して見られる、見るとほっこり心が和む等々、疲れや退屈を忘れて没頭できる映画である。それに羊が主役というのがいい。特に子羊のかわいさなんてちょっとずるいくらいだ。
もちろん機内に限らず映画館でみるのもオススメ。この映画を見ると、つまらないことや嫌なことなど忘れ、いっとき平凡な日常から離れることができる。
舞台はイギリスの片田舎。羊飼いのジョージはほんとうに羊が大好き。皆の特徴を把握し、一頭一頭に名前を付け、愛情をもって接している。一日の終わりには、羊には分からないと思いつつも、ミステリー小説の読み聞かせをするのが彼の日課。が、実は羊たちは人間の言葉を理解し、毎日物語の進展、犯人捜しに夢中になっていたのである。
(もっとも羊たちは人間の言葉は話せずメェ~と鳴くだけ。映画を見る我々だけ、翻訳された(?)羊たちの話を聞くことができる。)
ある日、突然羊たちの幸せな生活に終わりが来た。ジョージが何者かに殺されてしまったのである。村には怪しい人間がいっぱい。羊の天敵(?)である肉屋のおやじ、ジョージと仲が悪そうな隣の羊飼い、ジョージとの間で何か秘密を抱えている教会の牧師、いわくありげな宿の女主人、そして長いこと音信不通だったジョージの娘。一方、捜査の担当はちょっとマヌケで頼りない若い巡査が一人・・・。
そこで羊たちが、一番賢いリリーを中心に犯人捜しに乗り出した。しかし現実は小説とは違う。リリーも途中であきらめかけたが、仲間の羊たちの協力や大好きなジョージへの思いから捜査を続け、ついに事件解決の糸口をつかむ。この羊たちの活躍、冒険は是非劇場で。
英語のsheep(羊)には、臆病者、愚か者、他に追従する人といった意味もある。確かにこの映画の羊たちにもそうした性格が描かれている。おかげで結構笑えるシーンも多い。
一方、そうしたステレオタイプの羊とは違い、自らの危険を顧みず犬に立ち向かう勇敢な羊もいれば、抜群の記憶力を持つ羊、推理を働かせる羊や強いリーダーシップを持った羊もいる。一匹狼(?)の羊までいる。いずれの羊もジョージへの感謝、愛情がその力になっている。言ってみれば、この映画は愛と正義の物語でもある。
ただ、羊たちの助けがあったとはいえ、あの頼りなかった巡査が名探偵よろしく事件を解決するのはちょっと出来すぎ。まったく現実味はないが、まあ、羊のかわいさに免じて良しとしよう。
