MONOist ( 2015年01月30日 17時00分 更新)
「メカ設計セミナーリポート:
設計改革で大きな効果を得たいなら、設計の直接業務にメスを入れよ! 」
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1503/20/news012.html
思わず表題につられてしまったのですが、、、
設計改革の本質に迫るというよりは、設計対象に幾つかの前提が成立するときのソリューションに特化した内容で、ちょっと期待はずれな記事でした;
講演を聞いたわけではないので、講師が話した微妙なニュアンスや意図が汲み取れず、記事を読む限りはそう感じる。というだけかも知れません。
記事で述べられている設計プロセスの思想は、顧客要求から始まり設計へと流れる「上流から下流へのアプローチ」。 これを実現するために、必要なときに、毎回コンピュータが自動で作図する仕組みを作るべきだ。とのこと。
過去の図面から、標準図面を集めてそのバリエーションの組合せた流用設計を行うと、顧客要求に応えきれない仕様ができ、これを設計の十分な知識がない設計者が安直に変更してしまい、結局は設計力を弱める原因になってしまう。
これを改革するためには、
従来から実施している相似形の設計と新規のアイディアや新方式を採用する基本設計を分けて取組むこと。
変化のない顧客要求の項目と、顧客が求めるレベルである要求値を分けて取り組むこと。
の2点をベテランのナレッジを基に文書化しておくこと。
要約すると、このような内容かと思います。
要求や設計を分けて考えること自体は、適切だと思うのですが・・・
今までに販売したことのない地域独自の要求や、製造側の想定をはるかに超えた新しい価値を担った要求など、要求項目が進化する製品があります。(←最近、多いです)
また、少なくともメカ設計においては、相似形であれば自動で形状を変更させても良い。というわけではありません。
寸法や形状を変化させることによって、例えば、強度や耐久性能に対して非線形な影響を与えることもあります。(←これはほとんどの製品に関してあてはまります)
この記事では否定されていますが、もう十分に歴史を持った製品においては、膨大な図面から標準図を決め、組合せだけで設計することで、全ての要求に応えることができるなんてものもあります。
そんな僕の経験から考えると、画一的にこの記事の方法が適用できるとは考えられない。
この方法はある前提を満たす時、設計改革を実現するための一つのソリューションに過ぎず、
・その製品のライフサイクルから考える。
・マーケティング的な側面(STPなど)からその製品を考える
・要求に対して応えなければならない品質(性能)から考える。
・その品質を実現するための機構(部品群)から考える。
様々な側面から設計を焦点としたときに、その製品独自の改革アプローチとして適用出来る手段となれば、大きな効果が出せるかもしれない方法かも。という印象です;
どんな製品の開発も、それを開発する設計者にしか分かり得ない難しさがあります。
設計や製造の現場をひとつひとつ拝見させて頂きながら、その製品の特異な開発環境や独自の難しさを実感し、設計改革を実現するためには、どんな課題があり、どのように解決するか、一緒に考えさせていただく。
そんなスタイルで技術支援させてもらっている僕の立場から見ると、設計改革の本質は突いておらず、ソリューションの広報にしか見えな講演内容ですね。
ちょっと批判的な記事となってしまい、申し訳ないです<(_ _)>
KEN
「メカ設計セミナーリポート:
設計改革で大きな効果を得たいなら、設計の直接業務にメスを入れよ! 」
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1503/20/news012.html
思わず表題につられてしまったのですが、、、
設計改革の本質に迫るというよりは、設計対象に幾つかの前提が成立するときのソリューションに特化した内容で、ちょっと期待はずれな記事でした;
講演を聞いたわけではないので、講師が話した微妙なニュアンスや意図が汲み取れず、記事を読む限りはそう感じる。というだけかも知れません。
記事で述べられている設計プロセスの思想は、顧客要求から始まり設計へと流れる「上流から下流へのアプローチ」。 これを実現するために、必要なときに、毎回コンピュータが自動で作図する仕組みを作るべきだ。とのこと。
過去の図面から、標準図面を集めてそのバリエーションの組合せた流用設計を行うと、顧客要求に応えきれない仕様ができ、これを設計の十分な知識がない設計者が安直に変更してしまい、結局は設計力を弱める原因になってしまう。
これを改革するためには、
従来から実施している相似形の設計と新規のアイディアや新方式を採用する基本設計を分けて取組むこと。
変化のない顧客要求の項目と、顧客が求めるレベルである要求値を分けて取り組むこと。
の2点をベテランのナレッジを基に文書化しておくこと。
要約すると、このような内容かと思います。
要求や設計を分けて考えること自体は、適切だと思うのですが・・・
今までに販売したことのない地域独自の要求や、製造側の想定をはるかに超えた新しい価値を担った要求など、要求項目が進化する製品があります。(←最近、多いです)
また、少なくともメカ設計においては、相似形であれば自動で形状を変更させても良い。というわけではありません。
寸法や形状を変化させることによって、例えば、強度や耐久性能に対して非線形な影響を与えることもあります。(←これはほとんどの製品に関してあてはまります)
この記事では否定されていますが、もう十分に歴史を持った製品においては、膨大な図面から標準図を決め、組合せだけで設計することで、全ての要求に応えることができるなんてものもあります。
そんな僕の経験から考えると、画一的にこの記事の方法が適用できるとは考えられない。
この方法はある前提を満たす時、設計改革を実現するための一つのソリューションに過ぎず、
・その製品のライフサイクルから考える。
・マーケティング的な側面(STPなど)からその製品を考える
・要求に対して応えなければならない品質(性能)から考える。
・その品質を実現するための機構(部品群)から考える。
様々な側面から設計を焦点としたときに、その製品独自の改革アプローチとして適用出来る手段となれば、大きな効果が出せるかもしれない方法かも。という印象です;
どんな製品の開発も、それを開発する設計者にしか分かり得ない難しさがあります。
設計や製造の現場をひとつひとつ拝見させて頂きながら、その製品の特異な開発環境や独自の難しさを実感し、設計改革を実現するためには、どんな課題があり、どのように解決するか、一緒に考えさせていただく。
そんなスタイルで技術支援させてもらっている僕の立場から見ると、設計改革の本質は突いておらず、ソリューションの広報にしか見えな講演内容ですね。
ちょっと批判的な記事となってしまい、申し訳ないです<(_ _)>
KEN