日経テクノロジーOn line(2015/01/13 00:00 更新)
「新分野に挑戦し続けることが、技術や人との出会いをいざなう 」
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20150109/398024/?ST=real

 リアル開発者のカタチに、僕もお会いしたことがある方のインタビュー記事がでていました。

 誰に対しても気さくに話しかけ、ざっくばらんな話し方で、その場にいる誰もが親しみを感じてしまう。その一方で真の通った信念のもと、ぐいぐいと周囲を巻き込みながら前へ前へと行動する。お会いした時に僕は、そんな印象を抱きました。記事からも、僕が抱いた印象が強く反映されている気がしたのですがいかがでしょうか?

 今回の記事では、新しいことに挑戦する姿勢と、その効果に対する話題が盛り込まれています。

 今までの常識や慣例を超えて新しいことに取り組むとき、人は必ず初心者になります。慣れ親しんだ仕事の進め方や考え方から脱出して、新たな世界を試行錯誤しながら学び、成長しなければならないので、「その道のベテラン」と呼ばれる人ほど、新しい世界への抵抗感があるもの。

 しかし、今までと同様なビジネスを進めているだけでは、「その場に止まっていることすらままならない。さらなる高みを目指すためには、自動車以外の異分野にも積極的に挑戦していく必要がある。」という決意と共に、挑戦する姿勢を全社に投げかけていく姿勢に感銘を受けました。



 とはいえ、新分野/新業界における「新製品」のアイディアを創出していく取り組みは、投資の違いから中小企業においてはなかなか難しい仕事であると思います。

ともすれば、記事にも出てくるように、
 「メンバーだけで頭をつき合わせても、出てくるのは「奥様のアイデア商品」的な洗濯バサミ程度で、今思えば本当に笑ってしまうようなものばかりだった。」
という状況になってしまうことも。
 
 大企業における新分野進出の取り組みに対して中小企業では「難しい仕事」となってしまう理由として、僕が感じている点は3つ。
 
◆ 製品(群)企画は、他社に真似されたくないものなので社内で秘密に扱いたくなります。
 しかし製品のアイディアは、できるだけ多くの人に意見やアドバイスを受け、様々な視点からブラッシュアップを図るほど良い企画となります。
 大企業であれば、社内の様々な部署の「その道の専門家」に企画を見せてアドバイスを受けることができますが、中小企業では一部のメンバだけで判断することが多くなってしまう。

◆ 新分野へ挑戦するとき、その市場の規模/動向/ニーズを把握することが重要です。
 ビッグデータを扱い詳細に分析したうえで、挑戦する分野の絞り込みや隠されたニーズの抽出、そして自社資源のシーズとのマッチングをみる。それをやり込めばやり込むほど、リスクを軽減させることができるかも知れません。しかし、中小企業ではそこまでの時間と費用をかけることができません。

◆ さらに大きな課題として、中小企業では取り組むメンバは従来からこなしている仕事から抜けることができず「専任」して取り組むことができないことが多くなることがあげられます。
 企画は「考え抜く」時間が多く必要であり、考えている間はアウトプットがありません。全員が収益を産むための生産者としたい中小企業では、これが「ムダ」に感じられてしまうので、従来の仕事の生産をしつつ「片手間」で取り組むことが必須になったりします。



 実はこの3点、僕が技術屋.netの活動で挑戦している企画で直面している問題です;
 そのため、今の企画が「奥様のアイデア商品」になっているのではないか。
できあがった試作品をみても嬉しい反面、記事にもあるように「こんなもの本当に売れるのか」という不安に駆られたりします。

 これをできる限り払拭するために、技術屋.netでは幾つかの取り組みを実施しています。
ひとつは、アドバイザーによるデザインレビュー制度。
 メンバだけでは、独りよがりな進め方になってしまうことを防止するために、開発の要所ごとに、技術だけではない様々な分野の方に進捗をみていただき、アドバイスを頂くことでアイディアや技術のブラッシュアップを常に図るようにしています。

 もうひとつは、様々な開発手法の適用です。
 新商品のアイディアを抽出するためには、ブレインストーミングやTRIZ、KT法など、短時間でメンバ全体のアイディアを引き出す手法があります。
 また、そのアイディアとニーズを紐づけたり、企画を定量的に分析していく方法に品質機能展開(QFD)などの方法もあります。
 これら様々な方法を、自分たちの規模や特徴に合わせて、組み合わせたり簡略化したりしながら適用していくことで、短期間/少人数の取り組みでもできるように工夫しています。

 と、頑張ってはいるのですが、それでも不安が解消されることはない状況。

 現在も製品開発の途上にある僕の活動では、解決策をばんっと提示することはできないのですが、、、
 記事にあるように、「この技術が世の中に出たら世界が変わる」と信じて進める覚悟をきめることが重要なのだと考えています。諦めずにつまづきながらも取り組んでいると、不思議と「重要な人や技術との出会い」に恵まれてきます。

 自分がやりたいことを「夢」みて、それを信じてやり通す。そうすると次第に「夢」を共有する仲間が生まれてきて実現に向かって走り出せる。

 そんな仲間が増えるほど、成功が近づいてくるのかも知れませんね。。。

KEN