日経テクノロジーOn line(2014/11/28 16:54 更新)
「インテグラル・テクノロジー、熟練者のメッシュ作成ノウハウを自動化するソフトを開発」
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20141128/391445/

 仕事の熟練者、いわゆるベテランが持つ知見やノウハウは、企業にとって貴重な財産です。
特に製造業にとって「技術」に関する知見やノウハウは、数多くの経験に基づいて培われた、「他社がそう簡単には真似できない」強みとなり得ます。

 企業としては、その強みをうまく活用してビジネスを展開したいもの。

 ベテランが失敗を重ねながら培った知見やノウハウを明らかにして、一部のベテランだけではなく、社内の技術者の誰もがその知見やノウハウを活かせる【技術伝承】ができれば、、、
 過去の失敗を繰り返すことなく、さらに高みにある知見やノウハウに行き着くことができます。


 と・・・言ってしまえば簡単に聞こえますが、実際にそれをやろうとすると難しい。

「職人の技は見て盗むもの」

 とはよく言ったもので、、、
「見て」→表向きの技術を知る、「盗む」→実際にやってみて体験から技術の本質を学ぶ。 この2段階を経なければ知見やノウハウが自分でも使える技術になりにくいという実態があるのです。

 何故そうなってしまうかといえば。

1.自分で体感しなければ、その本質が分かりにくい「技術」が非常に多い。
 親のアドバイスが子供には理解できず、親と同じ失敗を繰り返してしまう。なんてことはよくありますね。それと一緒だと思います。

(解決策)
 ぶっちゃけ、熟練者でも、例えの親にしても、ちゃんと相手(子供)に説明ができていないことが問題だったりするので。うまく伝える表現方法や手段が必要ですね。


2.解釈の違いによって、熟練者とは異なる活用をしてしまうことが多い。
 同じ人の話をみんなで聞いた場合でも、人によって感じ方/捉え方は千差万別です。講演会の聴講などであれば、それで良いのかも知れませんが、技術の場合は誰もが同じ解釈になるように伝えなければいけません。

(解決策)
 誰もが同じ解釈になるように、標準化やモジュール化など作業や部品などで統一を図ったりします。


 で、前置きが長くなり過ぎましたが(汗)、ようやく本題。

 ベテランの知見やノウハウを活用するとき、「今後さらなる発展をあまり見込む必要がない作業」であり、且つ、「その作業を実施するために多大な作業時間が必要」である場合、

 作業自体を機械やソフトにやらせてしまう「ITツール化」によって仕事の効率化が図れます。


 今回の記事にある「自動化ソフト」は製品の機能や性能をコンピュータでシミュレーションするCAE解析という仕事の話です。
 コンピュータシミュレーションというと、全部コンピュータがやってくれそうですが(笑)
その準備作業である「モデリング作業」は技術者が実施します。

 過去のブログを読んでいた方はご存知かと思いますが僕はその専門家だったりします。
このモデリング作業は、CAE解析では最も手間がかかる大作業。

 手を抜いて適当にやってしまうと、実際の現象をうまく再現できなかったりとシミュレーション精度に大きく関わったりします。
 かといって、じっくり手間暇かけて取り組んでしまうと納期までに作業が終わらなかったりする。

 その辺のサジ加減が重要な業務です。

この「サジ加減」に熟練者のノウハウがあって、なかなか言葉で説明しづらい所なのですが、
今回のインテグラル・テクノロジー社の自動化ソフトは、そのノウハウをうまくソフトに取り入れてあるというのが売りだそうです。

インテグラル・テクノロジー社
http://www.integral-technology.co.jp

 通常、新しいソフト開発をする場合は開発費用が莫大になるため、非常に高額なソフトとなってしまうのですが、こちらのソフトは自動車会社でよく使われているモデリングソフトに組み込むAPI形式のソフトとのこと。
 今まで使っていたソフトを使いながらも、新しい機能を活用し、しかも安価に導入できる心配りがあるようです。。。といってもそれなりに高額;

 その効果は如何に!?
 最近、CAE解析の仕事を直接実施することがあまり無くなったのですが・・・
気になるところです。

KEN