MONOist (2014年11月26日 11時43分 更新)
「和菓子を作る「3Dフードプリンタ」を高校生が開発――RepRapをベースに」
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1411/26/news071.html


 ものづくりの「イノベーション」というと、製品の材料や方式、デザインが革新されることに注目されがちですが、それはイノベーションの結果であることが大半です。
 革新されているものは、製品に対するテーマやアイディア,造り方,生産体制など目に見えるものではないことがその本質だと置き換えても良いのではないでしょうか。

 で本題は、”和菓子を作る「3Dフードプリンタ」”東京工業大学附属科学技術高等学校の現役高校生が開発し、Maker Faire Tokyo 2014で発表したという記事です。
 3Dプリンタは、今後のものづくりを革新に導く製法と謳われて久しいですが・・・
「何をどう造るのか?」と考えた時になかなか想像ができないのは僕だけなのでしょうか?

 3DCADで設計されたモノを細かく断面で区切って積層しながら3Dで再現する。
彫刻のように物体を削って部品を製作する切削と比べると、全く逆転の発想から生まれた手法としてなんとも画期的です。
 特に熱で樹脂を溶かして細いノズルから射出して積層していくFDM方式は特許が切れたので、安価な3Dプリンタも普及して身近になってきて、さまざまな分野/業界で活用されはじめています。

 それゆえ、僕も注目していたのですが、、、
 昨年、たまたま技術屋活動の製品開発プロジェクトで部品の試作をする機会がありました。
そのメリットはなんと言っても短納期にも関わらずお手頃価格。
しかし機械設計の機能/性能の検証を行う試作部品としては不十分であることが発覚して残念な結果となりました;;
 そもそも本来は、「デザインの検証」が目的で開発された3Dプリンタは、機械設計的な観点からみるとまだその発展途上にあるんだなぁ。と実感しました。
(図面の書き方自体も変化させる必要があるのかも。。。)

 いまや数μmの精度で製作できるものですが、設計図面には精度だけで語れない設計者の意思が反映されており、製造業の職人さんがその意思を汲み取ってその技で製作していく。
 現在の3Dプリンタはまだその域までは達することが出来ていないということですね・・・当たり前か;


 以来、3Dプリンタはどのように活用すると良いのだろうか?
3Dプリンタの話題が記事に出る度にそんな素朴な疑問を持っており、良い事例を見ると感嘆しています(笑

 今回の記事もそんな感嘆の記事のひとつかと。
今まで機械ではとても到達できなかった美しい見栄えの和菓子。和菓子職人さんが長年の経験から作り上げてきた芸術の世界。
 これを3Dプリンタで再現する。まさに革新的な発想ではないでしょうか?
うまく、ビジネスモデルに反映されて普及すれば、芸術的な和菓子をつくり上げる製法が変革されてしまいそうですね。

 和菓子職人さんが、3DCADと睨みあいながら独自の和菓子を創造する。
そんな様子を想像すると、ちょっと寂しい感じもするのですが・・・(汗

KEN