嘘だよ
好きなやつなんてニノ以外にいるわけない
それでも、もう一緒にいるのが辛い
おれから別れを切り出したはずなのに
押し寄せてくる罪悪感と喪失感に
思わず膝から崩れ落ちた
大野「・・・・・・ごめんっ」
そう言ったのと同時に
目から溢れたそれを流したまま
ここにいない彼に言い続けた
大野「・・・っごめん、・・・・・・ごめんな」
そして愛しい人の名前をそっと呼んだ
大野「・・・・・・・・・・・・ニノ」
もうきっと恋人として呼ぶことのない名前は
やけに静かに感じるこの部屋に響いた気がした
どのくらい経ったか涙が出なくなるほど枯れ
水分を求めテーブルの上に手を伸ばすと
先程、冷蔵庫から取り出した袋に腕があたる
中を覗くとミルクチョコレートが入っていた
これ、甘いものが好きじゃないニノが唯一食べたくなるって言ってたチョコ・・・
包み紙をそっと取り口に含む
食べたのは甘いミルクチョコレート
なのに、なんで
なんでこんなに
大野「・・・・・・苦いな」
甘いはずのチョコはおれの口の中でほろ苦さだけを残し溶けていった
ピロン♪
タイミングよく鳴ったスマホ
画面を覗くと
メールの相手はニノだった
ドクンと強く脈打った心臓
半ば衝動的にスマホを開き内容を読む
『今日は片付けもできず帰ってすみません。大野さんの家にある私のものは全部捨ててください。
これからは昔みたいにメンバーとして仲良くしてくださいね。
好きな人と幸せになってください。
おやすみなさい。』
何を期待したんだろう・・・?
自分からさよならを告げたのは重々承知だ
でも
こんなすんなり受け入れて貰えると思ってなかったのか?
もっと引き留めてくれるとでも思ったのか?
もうそんなのどうでもいいか・・・・・・
彼との幸せな時間など戻って来ないのだから
彼のメールに返事はせず、握りしめていたスマホをソファーへ放り投げた
洗面所へ行き二本並んだ歯ブラシを一本だけゴミ箱へ捨て
寝室から彼が泊まりにきた時に着ていたスウェットを取り出し、丸めて袋へ突っ込む
最後にキッチンへ向かうと食器棚からお揃いで買ったマグカップを手に取った
あぁ、そういえばおれニノの話聞いてあげなかったな
なんの話、するつもりだったんだろう・・・
でも、もう関係ないか・・・
そして手に取った一つのカップから静かに手を離した
続く〜