ガチャ
家に着くとニノは気まずそうに黙ってしまう
ニノ「・・・・・・あ、あのっ、やっぱり私、帰りますね」
やっと開いたと思ったが、それは望んでいない言葉で
どうにか引き留めようと腕を再び掴む
大野「・・・まだ、帰らないでっ」
ニノ「っ・・・」
ニノは足を止めると静かに振り返った
大野「・・・話、したい」
おれは振り返ったニノの少しだけ潤んだ瞳を見つめ
はっきりと告げた
ニノ「・・・・・・・・・わかりました」
すると、ニノは観念したかのように頷いた
ニノ「・・・・・・」
重い沈黙
おれはソファーに座る彼の隣に腰を沈めた
でも彼は俯き目を一向に合わせない
大野「・・・・・・ニノ、あのさ」
沈黙に耐えきれず声をかけたその時
ニノ「あの」
ニノはおれの言葉を遮った
ニノ「なんで別れようって・・・・・・言ったんですか?」
大野「え・・・」
唐突な質問に思わず息を呑む
ニノ「・・・だって本当に好きな人ができたなら、私の話なんて聞かなくていいでしょ?」
大野「・・・」
あの時おれが言った自分勝手な嘘
それがどれだけ彼に深く突き刺さったのか
おれはそれを知る術はない
今にも泣きだしそうな彼は懸命に言葉を紡いだ
ニノ「・・・何度も・・・・・・何度も諦めようとしたんです」
大野「ニノ・・・」
ニノ「でも無理だった・・・・・・いつもやってるゲームすら手につかなくて、ご飯も喉を通らないし・・・」
おれは瞬間顔を歪め、数日前より少し細く感じた彼の腕にそっと触れる
ニノ「全部棄ててしまおうとすら考えました・・・」
その言葉に思わず手に力が入る
ニノ「そうしたら相葉さんや翔さんや、潤くんが悲しむかなって・・・もしかしたら、大野さんも悲しんでくれるんじゃないかって・・・・・・」
おれはニノの想いにやるせない気持ちでいっぱいだった
ニノ「でも出来なかった・・・だって忘れたくなかったから・・・大野さんとの思い出・・・死んだら、もう二度と思い出すこともできないから」
ただ彼を守りたい
こんな小さな背中で一体どれだけのものを抱えていたのだろう
ニノ「ねぇ、まだ私のことすっ・・・」
頭で考えるより先におれは彼を抱きしめていた
大野「ごめん、ごめんニノ」
おれの背中に冷たいものが滴る
大野「好きな人なんてニノ以外いない、おれが好きなのはニノだよ、ずっと・・・」
ニノ「ふっうぅ・・・ひっく、ん・・・っく」
しゃくりをあげている彼の背中を摩る
大野「ねぇ、ニノ・・・おれの話聞いてくれる?」
おれの肩口に顔を埋めている彼はコクっと頭を動かした
大野「・・・おれね、ずっと松潤に嫉妬してた」
こんな素直な気持ちを伝えるのにどれだけ遠回りをしただろう
その割に言ってしまえば呆気なく感じる
ニノ「・・・」
大野「いつからかわかんないけどずっと一緒にいる二人が羨ましくて仕方なかった」
自分の気持ちを伝えていたら、目の奥がツンとした
大野「・・・あの日松潤から電話きたよね?」
ニノ「えっ・・・うん」
大野「・・・おれね、偶然聞こえちゃったんだ・・・ニノが・・・・・・」
何度も頭の中を巡った言葉
口に出すのも躊躇う
大野「・・・無理だって・・・続かないって、言ってたの聞こえちゃって・・・」
少し震えた声
おれは言葉を続ける
大野「おれ、ニノの事情聞かないまま・・・感情に任せてに、あんなこと言ったんだ・・・」
ニノ「・・・・・・」
大野「ニノのこと傷つけて、ごめん・・・ニノのこと・・・・・・信じてあげられなくて・・・ごめん・・・」
ニノ「・・・ち・・・す」
大野「え・・・?」
ニノ「ち、がうん・・・ですっ・・・うぅひっく、っう」
ニノが再びしゃくりをあげ何かを必死に伝えようとして
焦る様子の彼におれは優しく
大野「・・・ニノ、大丈夫。ゆっくりでいいから。」
そう言いながらおれは子どもでもあやす様にトン、トン、と背中を叩く
大丈夫。ずっとそばにいるから、そう伝わるように優しく抱きしめる
しばらくし、落ち着きを取り戻した彼を抱きしめたまま話し始めた
ニノ「・・・実は、収録前に潤くんから呼び出された時、私と大野さんの関係を言い当てられて・・・」
呼び出された時を考えると、確かにあの時くらいから二人がよく一緒にいたことを思い出す
ニノ「それ以来潤くんに相談にのってもらってたんです」
大野「えっ・・・相談?」
予想していない言葉におれは戸惑いを隠しきれない
おれとの関係に悩みを抱えてたってこと・・・?
どんな悩みなのか、いつから悩んでいたのか
そんなことばかりが頭いっぱいに浮かぶ
そして彼はゆっくりと口を開いた
ニノ「実は─────────」
続く〜