2016年9月!感染症専門医試験を受験しました!なんと100人受験した!
問題集3冊3回やって語呂合わせ作って勉強しましたが範囲は多岐にわたるため、、、とか言い訳ですが分からない問題は答えようがない!というのが現実でした〜。

どんな問題が出たか!覚えているものを書き出します。基本的は1問1答形式です。問題集のように1題に設問がいくつもありません。5つの中から1つ正解を選ぶ問題と5つの中から正解の組み合わせを選ぶ問題の2つタイプがあります。前者は知らなかったらもうおしまいです。後者は消去法でなんとかなるときもあります。全部で60問ありました。

1)検疫の対象とならない感染症はどれか
2)結膜炎をおこすDNAウイルスはどれか(RNAウイルス選んじまったよ、、、)
3)RSウイルスで適切ものはどれか(シナジスをワクチンだと思ってた〜でOUT)
4)マラウイで泳いで血尿が出た一番すべき検査は?(住血吸虫でしょ)
5)HIV患者の腸炎の写真を見せて適切な治療を選択(サイトメガロ腸炎だよ、これは)
6)5類感染症で直ちに報告が求められているものは?(劇症型溶連菌を選んじまったよ、、)
7)2類感染症ではない感染症の選択(SFTSが違うんじゃないでしょうか)
8)マイコプラズマの薬剤耐性の原因遺伝子はどれ?
9)1歳未満で定期予防接種対象にならないものは?麻疹?日本脳炎?で迷う人が多いはず。
10)梅毒の症状を問う問題
11)小児で現在適応が認められていない抗真菌薬はどれ?(そんなもん知らん、、、)
12)クリプトコッカス髄膜炎の治療薬を選べ(お決まり問題)
13)淋菌の治療薬を選べ(お決まり問題ですね)
14)脳外科手術後の髄膜炎の治療薬を選べ(お決まり問題)
15)小児の溶連菌陰性の咽頭炎の治療薬を選べ(多分正解は抗生剤は使用しないだと思う)
16)通性細胞内寄生菌を選べ(レジオネラが正解。うっかり間違ってしまった、、、)
17)膣内の環境と細菌そうについて選択させる問題
18)小児中耳炎で適切な抗生剤を選べ(グラム染色はたぶん肺炎球菌)
19)予防内服中の小児尿路感染症で適切な薬剤を選ぶ問題
20)サバイバルツアーに参加して発熱、ミンノマイシンで軽快(たぶん、レプトスピラ)
21)血培で検出された真菌?細菌?(アクチノマイセス??わからんかった^^;)
22)SSSSでブドウ球菌が産生する毒素名は?
23)中東呼吸器症候群で正しいものを選べ(間違っているののだったかな?)
24)カテーテル感染での正しい対処法を選べ(お決まりの問題)
25)学校保健法で間違っているものを選べ(出席停止日数について)
26)角化型疥癬で使う抗菌薬は?(イベルメクチンでいいと思うのですが、、、)
27)へんな数値や表をみせて適切な抗菌薬を選ばせる問題(意図よくわからん、、、)
28)C型、B型肝炎の疫学で正しいものを選べ(知らないと答えようがない、、、)
29)急激な咽頭痛と嚥下困難。直ちにやる検査を選べ(咽頭培養は選択しないのパターンか)
30)バングラディッシュで発熱し血培から菌体検出、薬剤を選べ(腸チフスでしょ)
31)乳児の結核の特徴を選べ(保育園で感染がほとんど、菌の分離は困難、感染と同時に症状がでることが多い、などの選択肢)
32)ランブル鞭毛虫の写真(汚い薄ぼけた写真)をみせて薬剤選択させる問題

33)眼瞼周囲のヘルペスの特徴
34)外科手術の予防投与の抗生剤の使用方法で間違ったものはどれか?
35)血液培養が有益な真菌感染症は?(アスペルギウスを選択したらOUTのパターンか)
36)耐性菌の特徴を選ばせる(プラスミドを交換するとか、、、正直分からなかった)
37)マラリアの問題(熱帯熱が出たような記憶がありますが出てないかも^^;ゴメン)
38)骨の細菌感染を起こした乳児について(免疫不全の検査をするとかの選択肢)
39)細菌と学名の正しい組み合わせを選べ


参考になりましたか?

39問まで思い出せましたが残りは無理でした^^;
11番、22番、28番は知らないともうそれでおしまいです。8番はマクロライド系がリボゾームに作用していることだけ知っていれば答えられるものでした。

小児科有利なの??と思いきや真菌が絡んだ問題や抗真菌薬の選択肢が多くて内科や感染症科に特化した人がよい面があります。1−5類はしっかり覚えておく必要があります。また症例問題は思い出せなかった問題も含めて「この疾患で選択される薬剤をえらべ」が圧倒的に多い気がしました。「疾患=検査」「疾患=薬剤」が決まっている病気は漏らさず覚えた方がいいです。グラム陰性球菌と陽性桿菌は言えるようにしておきましよう。疫学的な問題は知らないともう神様にすがるしかありません。C型肝炎の垂直感染率とか、、、。中東呼吸器症候群はサウジアラビで一番患者が多いとか(メッカがあるので一番流行しているんでしょうけど)。意外にエボラとかコレラ、ラッサ熱、炭疽菌、トリパノゾーマとか出ませんでした。狙い目なんでしょうけど問題をみていると全て日本国内で関わった疾病しか出題されていないので選択肢に出てきても感染症知識として問われるとことはないかもしれません(宿主や感染形式くらいでいいのかもしれません)。でも!日本には輸入されなかった中東呼吸器症候群の独立した問題が今年は出たのでエボラ、ラッサ熱、黄熱病あたりが狙われるのでは!と考えています。加えて狂犬病、回帰熱のような輸入症例が1−2例でもあるような疾患やデング熱は問題として出てくる可能性は高いと言えます。今年は百日咳、赤痢アメーバ、ビブリオ、ボツリヌス、劇症型溶連菌がでなかったのでこれらは来年でるかな。寄生虫疾患の治療法や症状は1対1対応が多いので今後も出しやすいかもしれませんね。裂頭条虫、住血吸虫、ランブルは出たので次は回虫、エキノコックス、皮膚爬行症あたりでしょうかね。マラリアは毎年出ると思っていたほうがいいかもしれません。

感染症は脳外科から眼科、皮膚科までジャンルが広いので大変です。かつ細菌学的な内容が選択肢に入ってくるとトホホ状態です。バイキンが好きで勉強することは一番重要ですが日頃からニュースや雑誌を読み込んでいる人は楽勝なのかもしれませんね。 どちらにしても臨床とは別に勉強や暗記は必要になりそうです。

たぶん、試験できまるんでしょうね。何割で合格でしょうか?
6割OKなら36問以上ですね。 私は知りませんが。。。。



<おまけ>
だいたい問題はこんな感じです。

予想問題1
北海道に在住している43歳女性。検診のレントゲンで肺と肝臓に一部石灰化を伴う3−5センチ大のシストが複数認められた(レントゲン写真提示)。発熱や疼痛は認めない。腫瘍性疾患はすべて否定された。
この疾患で間違っているものを選べ。
1. 治療はアルベンダゾールと外科的摘出である。
2. キツネの便中の原頭節を摂取することで人への感染が成立する。
3. 北海道のペットを含めた犬の1%に感染を認める。
4. 脳や筋肉への転移もありうる。
5.ヨーロッパでも感染例を認める。









答え:2 (虫卵の経口感染なので幼虫を人が食べても感染はしません)
NHKのドクターGという番組で「エキノコックスはキツネの糞に含まれる幼虫を摂取すると感染します」と解説していたので驚きましたが間違いです。幼虫はあくまでも中間宿主に存在する原頭節を指して言うものです。


予想問題2
皮膚爬行症を示さないものはどれか。
1. ドロレス顎口虫
2. イヌ鈎虫
3. 旋尾線虫
4. 無鈎条虫
5. メジナ虫









答え:4
無鈎は皮下に結節をつくることはあるかもしれません。しかし爬行はしません。
イヌ鈎虫は経皮感染しますね、これも知ってもいい事実です。

予想問題3
3類感染症に含まれないものはどれか。
1. 細菌性赤痢
2. 腸チフス
3. 日本脳炎
4. コレラ
5. 腸管出血性大腸菌










答え:3 日本脳炎は4類ですね。



予想問題4
誤った組み合わせのものはどれか。
1. 尖圭コンジローマ ー HPV 6
2. 鵞口瘡 ー カンジダ
3. Kaposi肉腫 ー HHV-8
4. トラコーマ ー クラミジアトラコマチス
5. 軟性下疳 ー 梅毒









答え:5 軟性下疳は軟性下疳菌で途上国に多い生殖器の潰瘍ですね。
尖圭とまぎらわしい偏平コンジローマは梅毒2期の皮膚所見です。



予想問題5
40歳、HIV陽性の女性。片麻痺、失語、痴呆症状が進行し来院した。MRIのT2W1画像を示す。
患者のCD4 陽性リンパ球数 30/mm3
この疾患について正しいものを選べ。


※医療関係資格試験マニアより写真引用

1. 潜伏感染しているウイルスが原因である。
2. HIV感染者でも生命予後は良好である。
3. 著効する化学療法はない。
4. 脳生検が診断に利用される。
5. 遺伝性はない。









答え:2 HIV患者では生存期間の中央値は1.8年で予後は良くない。治療はCD4の数値を改善させることが中心となる。



予想問題6
マラリアで正しいものを選べ

1. 熱帯熱と四日熱マラリアでは赤血球の膨大化を認める。
2. 三日熱と卵形マラリアの休眠体に対してアトバコンを投与する。
3. マラリアの媒介昆虫はネッタイシマ蚊である。
4. 三日熱と卵形マラリアではschuffner斑点を赤血球に認める。
5. マラリアは3類感染症として直ちに届け出る必要がある。










正解:4  膨大化を認めるのは三日熱と卵形である。三日熱と卵形で生じる休眠体にはプリマキン投与。媒介蚊はハマダラカで夜間に活動することが特徴的です。マラリアは4類感染症でありたま〜に問われます。


予想問題7

新興感染症について間違いを選べ。

1. ラッサ熱ではヒト-ヒト感染は確認されていない。
2. ラッサウイルスの宿主は齧歯類である。
3. クリミアコンゴ熱のヒトへの感染原因はマダニの咬傷である。
4. エボラウイルスの宿主はコウモリである。
5. マールブルク病はヒト-ヒト感染を認める。








正解:1 ラッサウイルスはマストミスというげっ歯類の野ネズミが宿主で噛まれたり唾液を浴びることで感染します。ヒトーヒト感染が確認されています。ラッサ、クリミア、マールブルク、エボラは宿主と感染形式は知っておく必要があると思います。


予想問題8

日本でも感染事例を認めるが特に下に示す赤線地域で流行しているグラム陰性球菌について間違っているものを選べ。


1. ウォーターハウス・フリードリヒセン症候群の原因のひとつである。
2. ヤブカが媒介動物であり、これに虫刺されることで感染が成立する。
3. 第5類感染症で侵襲性であれば直ちに保健所への届け出が必要である。
4. 無症候保菌者が存在する。
5. 第一選択薬はペニシリンGである。









正解:2  髄膜炎菌ですね。髄膜炎菌はヒトーヒト感染で拡大してゆきます。集団生活ではリスクが上昇します。第5類であることも知っておきましょう。第一選択はペニシリンGなので1対1対応の問題として取り上げられる可能性は高いです。