麒麟と蛇のパズドラ日記 -3ページ目

麒麟と蛇のパズドラ日記

【パズドラ】サクヤとエキドナが時代の流れに逆らって頂点をぶん取るために様々な仲間と共に降臨ダンジョンに挑むパズドラ日記です。

サクヤ「何がラーだ、何が100倍だっ!火力がそんなに偉いのかよっ!えぇ!?」
エキドナ「まあ、落ち着けよ……」 

深夜の酒場。冒険者が旅の疲れを癒す中、未だ元気いっぱいに愚痴をもらす女と、それをなだめる上半身女、下半身蛇のモンスターがいた。

サクヤ「どいつもこいつも……今まで頑張ってきたみんな、みーんな!!ラーに持ってかれちまった……うぅ……」
エキドナ「私がいるだろ、みんなじゃないさ」
サクヤ「エキドナぁ……」

先ほどまで憤りを見せていた女はその輝く金髪を振り乱して涙を流す。

時は昼まで遡る。
女、サクヤとともにダンジョン攻略に勤しんできた仲間が全員辞退を表明したのだ。サクヤが理由を問い詰めたところ
「ラーさんに引き抜かれた。ラーさんについていきたい」
「彼の火力は信頼できる」
「サクヤさんの戦い方には限界を感じた」
などと言いたい放題である。
とうとうサクヤのもとにはエキドナしか残らなかった。

エキドナ「他のパーティからメンバーを引き抜くなんて…ラー…絶対許さない」
サクヤ「………こんなことしてても仕方ない。また仲間を集めて、ラーを超える勢力を作ろう。仲間がいないとダンジョンにも入れない」

サクヤはその蒼い瞳に力をこめる。

エキドナ「おっ!じゃあやるかっ」
サクヤ「さてと、誰に声をかけようかな…」
???「でっさぁ!!次のフロアでまた『光ドロップ作れ』だぞ!?たった今作ったっつーの!何様だよ!ラーがそんなに偉いのかよっ!」

2人が辺りを見回したとき、カウンターでマスターに愚痴をこぼす一人の女の声が耳に入った。

(ラーがそんなに偉いのかよっ!)

この一言で、2人はその女を仲間にすると決めた。

エキドナ「なあ、あんた一人か?」

エキドナがジョッキ片手にカウンター席、彼女の隣に座る。

???「ん?ああそうだよ。パーティの宴に私は誘われないんだ…」
エキドナ「そりゃまたどうして?」
???「弱いから。もっと言うならラーの役に立たないから」
エキドナ「役に立たない?あんた、軽ドロップ変換で有名なヴァルキリーだろ?」
ヴァルキリー「うん。でもね、スキルも覚醒スキルが弱いんだ、私。操作時間延長もなければ陣使えるわけじゃないからね。パーティの足手まといだっていつも……」
エキドナ「それだけで?仲間の長所も見てやれないなんて最悪だな、そいつら」
ヴァルキリー「もういっそラーパーティを抜けたいんだけど、そのあとのアテがなくて…今更アテナさんには合わせる顔もないし……」
サクヤ「じゃあ私のパーティにきてよ!」

ヴァルキリーのもう一方の隣に、サクヤがグラス片手に座り込む。

ヴァルキリー「……え?」
サクヤ「あ、私はサクヤ。よろしく。私、元は多色系統でリーダーとしてやってきてたの。でも、今日メンバーがみんな辞めちゃって」
ヴァルキリー「みんな!?一斉に?何があったんですか!?」
サクヤ「みんな、ラーの下でやっていきたいって」
ヴァルキリー「………っ」

目の前の女性が受けたひどすぎる仕打ちにヴァルキリーは絶句する。

ヴァルキリー「……本当に私なんかでいいんですか?」
サクヤ「私なんか、なんて言ったらダメ。ヴァルキリー、あなたは十分にすごいよ?たった5ターンで光ドロップを生成できるんだから」
ヴァルキリー「サクヤさん……!」

サクヤがあてた優しい言葉に、ヴァルキリーは胸を打たれた。

エキドナ「ここぞ!てときにヴァルキリーがスキル発動できないときは、私に任せろ。どんな相手も怯ませてやる!」

ヴァルキリー「……決めました!私、サクヤさんのパーティに入ります!」

ヴァルキリーがジョッキを叩くように置き、宣言する。

サクヤ「ヴァルキリー!ありがとう!」
エキドナ「じゃあ、新生サクヤパーティの発足を祝って!」

一同「乾杯!!」

これが、のちにこの世界でラーにも並ぶ多色パーティ勢力となる「サクヤファミリー」誕生の瞬間だった。



次回「エンハンス」