サクヤ「うん、でもまだ足りない」
サクヤのリーダースキルは火、水、木、光で攻撃力が五倍。
火はエキドナ、光と木はサクヤとヴァルキリーで事足りるが、水が仲間にいなかった。
エキドナ「メタトロンはこんな酒場にはいないだろー」
サクヤ「探すしかないかな…」
???「水属性をお探しですか?」
突如、全身に鎧を纏った騎士が三人に声をかけてきた。
サクヤ「……あなたは?」
ミューズ「申し遅れました。私はミューズ。サクヤ殿に会うべくここに参上しました」
敬意を表するように右手を胸に当てるが、その仕草はやや大げさで、道化を思わせる。
ヴァルキリー「ミューズ……!」
ミューズ「ヴァルキリー?ほう、ラー殿の下を離れたと思えば、よもやサクヤ殿のところにおられるとは」
エキドナ「サクヤ、気をつけて。こいつラーパーティの幹部だよ」
サクヤ「!!!」
ヴァルキリーとエキドナがミューズを睨みつける。四人の周りを冷たい空気が漂った。
ミューズ「敵意を抱かせる表現はやめてほしいものです、まあ間違ってはいませんが」
ミューズ「サクヤ殿、私はラーパーティから派遣された者です。サクヤ殿がパーティのメンバーを失ってお困りだろうということで…」
エキドナ「お前らが全員引き抜くようなことするからだろうが!!」
エキドナが牙をむく。
ミューズ「落ち着いてくださいよ、エキドナ殿。それに、『全員じゃない』。あなたもわかっておられるはずだ」
エキドナ「………っ」
ミューズ「なのでサクヤ殿が新たなメンバーを勧誘できるまで、私が臨時的にサクヤパーティの一員となるよう指示を仰せつかりましたので来た次第であります」
ミューズは淡々と話を続ける。
サクヤ「……スキルは?」
ミューズ「神タイプ、サクヤ殿とヴァルキリーの攻撃力を2.5倍です。1ターンの間だけですが」
サクヤ「……なるほどね、ラーパーティの下にいるのも納得」
ミューズのスキルを聞き、サクヤは失笑する。
サクヤ「一刻も早く水属性の仲間は見つけます。ほんの短い間になるかと思いますがよろしくお願いします」
ミューズ「……よろしくお願いします」
ミューズは呟いた。鎧に隠れて顔は伺えないが、声色で嘲笑していることはわかった。
それをサクヤは気付いた上でミューズに背を向けて
「さて、あと1人」
と酒場を見回して呟いた
次回「ヴァルキリーの師匠」

