日本は大丈夫なの? | エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議

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日本は大丈夫なの?

日本では再生エネルギーの普及を目指すと政府が謳っているのに反して、電力会社が容量不足をたてに、再生エネルギーからの電力を系統に接続することを保留したりしましたね。今は太陽光発電の買い取り価格改定に向かっています。再生導入にブレーキがかかっているように思えます。

大丈夫なの?というのは再生エネルギーが世界でどんどん増えているのに日本がそれに遅れている状況を心配したわけです。

2014年6月14日の日経新聞によれば、

世界の再生エネ17%増

バイオマスの熱利用まで含めると再生可能エネルギーは世界の全エネルギー消費のほぼ20%をカバーし、原子力の2.6%を大きく上回った。

とあります。

同日の東京新聞によると

2013年末の世界の再生可能エネルギーによる発電設備の容量は前年比約17%増の5億6千万KWに達したとする調査結果を「21世紀の再生可能エネルギーネットワーク」(本部ドイツ)がまとめた。

昨年1年間で世界の太陽光発電が約1億KWから1億3千8百万KWに、風力発電は2億8千3百万KWから3億1千8百万KWに増えた。最も増えたのは中国、以下米国、ブラジル、カナダ、ドイツの順。中国では再生可能エネルギーの新設容量が、化石燃料や原子力の新設容量を初めて上回った。

日本は太陽光発電が1年間で690万KW増えて1360万KWに達し、世界5位から4位に浮上。再生可能エネルギーへの投資額でも中国の$542億、米国の$339億に次ぐ$286億で世界3位だった。風力発電は中国が1610万KW増え、総容量が9千万KW超となりトップ。以下米国、ドイツの順。日本は送電網への接続が思うように進まず停滞が目立った。

とありますから、少し再エネキャッチアップの状況が出てきたと考えられます。これは太陽光発電が増えたからです、風力と同様接続がネックになると停滞が起こるかも知れません。


2014年 10月13日 日経新聞によれば

 再エネ利用、日本は後進国

1次エネルギー(石炭、石油、、天然ガス、原子力発電の燃料ウラン、風力、太陽、地熱、水力など自然界に存在するエネルギー)国内供給量に占める再生可能エネルギーの比率と内訳。

アイスランド89.8%、ノルウェー47.4%、スウェーデン36.9%、フィンランド29.8%、スイス20.7%、カナダ18.3%、イタリア13.1%、ドイツ10.6%、メキシコ8.8%、フランス8.4%、米国6.0%、豪州5.5%、英国4.4%、日本4.1%、韓国0.9%

2012年石油換算、出所:IEA ENERGY BALANCE OF OECD COUNTRIES 2014

とありますので2012年のデータでは再エネ後進国であったわけです。折角芽生えた再エネ普及の芽が政府・電力会社によって摘まれてしまうとしたら後年臍を噛むことにならないかということです。技術は持っていたのに時代の潮流を見極めずにエネルギー面でもガラパゴス化が起こることを危惧します。再生エネルギー利用が世界の潮流になり、日本がそれと逆行するようなことになれば大きなビジネスチャンスを失うことにもつながり、経済の損失にもなるのではないでしょうか。

日本再生可能エネルギー総合研究所殿のメルマガから一部を抜粋させてもらいます。

‐‐‐‐‐記事抜粋‐‐‐‐‐‐

発表されたばかりの「世界のエネルギーの投資予測2014‐2035」によるものです。2035年までの20年間の世界の発電施設に対する投資額をエネルギー源別で見たものです。

・再生可能エネルギー 61.3%
・石炭        16.0%
・原子力       11.1%
・ガス        11.0%
・石油         0.5%

 全体の投資額の6割が、再生エネの発電施設です。理由はこのメルマガで示した様にドイツやその他の国で起きていることを考えればおわかりになるでしょう。

 IEAの統計では、2014-2035の間のトータルの発電施設の必要投資額はざっと16.4兆ドルでおよそ2000兆円になります。そのうち1200兆円が再生エネです。

 投資はビジネスです。日本はどこにターゲットを設定し、ビジネスとして参入するのか。サバイバルのための経済競争にこのままで勝てるのか、甚だ疑問と言わざるを得ません。
私が心配するのは、日本が今後の20年間で1200兆円(発電施設への総投資額の6割)にも及ぶビジネスチャンスを逃すのではないかということです。そして、第3の矢と名付けた成長産業を未だに見出せないままのこの国のかじ取りに不安が残るのです。

‐‐‐‐‐抜粋終わり‐‐‐‐‐

いかがでしょうか。日本再生可能エネルギー総合研究所殿のメルマガにはここに使用させて頂いた部分の他にも冷静で示唆に富む内容のものがありますので、機会をみてまた紹介させて頂こうと思います。

文責 事務局 山口 伸