利根川源流からエネルギー革命を! | エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議

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 8月30日、「森林資源を活用した『バイオマスエネルギー』でみなかみの活性化を目指すための連続学習会」第6回(最終回)「林業再生 生きる道」-利根川源流からエネルギー革命を!を熊崎実筑波大学名誉教授をお招きして開催した。43名の参加者で活発な議論が交わされた。その中で、筆者が代表を務める「(㈱)りゅういき自然エネルギー」提案が、エネ庁関連のFS委託事業に採択されたといううれしい報告をすることができた。少なからぬ予算がつくので、それぞれの専門家を招聘し①燃料調達調査(間伐材量・端材量、運搬手段、価格等)②森林生態系調査(生物多様性復元と木材利用の両立手法、国有林と隣接する民有林との一体な生態系管理)③燃料生産(薪・チップ・ペレットなどの種別、コスト、貯蔵・運搬方法等)④熱・電気供給先検討(町営温泉施設、町営給食センター、民間クリーニング店、道路融雪、旅館等)⑤ボイラーあるいはコジェネ検討(国内外のメーカー・機種の特製、価格等)⑥事業スキーム(事業主体・資金調達方法等)などの詳細調査ができる。地域エネルギーで地域の活性化を目指すという計画が一気に加速するだろう。

 翌日には、「誰にでもできる間伐材の搬出方法」のテーマで群馬県森林整備ボランティア「桜山きづきの森」メンバーによる実践活動を行った。予想を超える29名の参加者があり関心の高さを示した。前日に専門家が伐採した杉の10m、3m材を小型のエンジンウインチとロープを使って搬出した。機械自体は背負って移動できるほど小型軽量で、しかも据え付けは10分ほどで完了。搬出までの動きが余りにもなめらかなので、かなりこの日のために練習してきたのかと思いきや「2~3回」使っただけとの酒井リーダーの言葉。林業に素人の参加者でもすぐに使いこなせるほど使用方法もいたって簡単だ。



 日本で間伐材が利用されない大きな理由は、路網が整備されていないことなどにより搬出コストがかかりすぎるからだ。この方法なら誰でもどこでも「簡単に」軽トラ1台の間伐材を搬出することが出来そうだ。自伐林業の拡大やボランティアによる森林資源の活用に強力な援軍が現れたようで、目的にまた一歩前進した。森林組合や林業従事者ら一部の人たちだけがバイオマスエネルギーの燃料供給者になるのではなく、地域内外のボランティアも含め多くの人々が係わらなければ「エネルギー革命」は起こらないのだから。

(文)河合純男
 

本記事は「自然の権利」基金通信 Vol69 よりの許可を得て転載しています。