ゴミ焼却処理施設活用によるご当地発電所 | エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議

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      浅 井  清
      テクニカルアドバイザー


既設都市ゴミ焼却処理施設活用による自前ご当地発電所について
  ~ご当地バイオマスとご当地廃棄物によるエネルギーの自立化へ~


会員の皆様、我が街で、ローカルで自前の自立・分散・防災を想定した「ご当
地発電所」を推進しませんか!!
それには、既設都市ゴミ焼却施設をローカルご当地発電所へと変身させること
です。無論、燃料はこれまでの都市ゴミを主体に、施設処理能力の余裕分を使い、産業系廃棄物、下水汚泥、間伐材、支障木、剪定枝などを燃料とし、化石燃料に頼ることない電力を生み出すのです。それでは以下でご説明しましょう。

1.木質バイオマス発電について
   昨今、地域での電力エネルギー確保、FIT制度活用による事業化及び地域の活性化を目的に、森林木材などを利用した木質バイオマス発電所の建設と事業創出の模索・検討がされている。比較的発電規模の大きい木質バイオマス発電所(10,000kW以上)では、間伐材などからのチップ・輸入ヤシ殻・建設廃材等を燃料としているが、間伐材などを主とする発電では燃料となる間伐材等の収集・輸送コストが、大きな課題となっている。また、5,000kWクラスの中規模施設ではスケールメリットも見込めず、採算性が厳しいのが現状である。
   一方、小規模施設のガス化発電(数百kW)に於いては、施設の高効率発電及び安定運転の必要性とタールトラブルなどの点から徹底した燃料の調質化が必要とされ、これらが施設建設・普及を妨げる要因にもなっている。

2.既存都市ゴミ焼却施設の活用による発電量増加とFITによる収入増
(既存都市ごみ焼却炉は焼却能力に大いなる余裕がある)
  まず、既存焼却施設でのゴミ処理は、古紙や廃プラなどのリサイクル促進により大幅にゴミが減量化され、処理量に余裕がある。
次に、発熱量が高い紙・プラ等のゴミが回収されたことで、焼却炉へ投入される現在のゴミの平均発熱量は1800~2200kcal/kg程度と計画時ゴミ発熱量(2800~3300kcal/kg)より低くなっている。
上記2点により、炉建設当初の計画熱負荷稼働率(処理量×熱量)に比較し、現在は稼働率が50%未満の都市ゴミ焼却施設が数多く存在すると考えられる。
都市ゴミ焼却施設は、周辺地域から間伐材、道路支障木、剪定枝などの木質バイオマス、更には地域の廃棄物を積極的に受入れ焼却発電することで、“数百~数千kW”発電量の増加が可能となり、且FITによる売電収入の大幅な増加も見込まれる。また施設近傍に温水利用施設があれば、熱の販売も
考えられる。
=「都市ゴミ焼却施設の地域エネルギーセンター化」

参考1.送電量の増加について
 間伐材などの受け入れは外部送電量の増加、及び、発電電力の安定化に繋がる。また、FITによる売電収入が見込め、更には低炭素化への道が見える。
(増加発電量の大半は、外部送電となる)
参考2.地域の活性化について
 間伐材、樹皮等の受入れは、焼却施設周辺の森林整備、林業振興につながる。
(焼却施設の持込みには、ある程度の加工処理が必要=ex.荒破砕等)
参考3.地域産業廃棄物の積極的受入と自治体処理経費の削減について
 下水汚泥などを都市ゴミ焼却施設で混合焼却することで、自治体は汚泥専焼設備の必要がなくなり、処理経費の大幅な削減が可能となる。

3.都市ゴミ焼却施設の安全性
  現在の都市ゴミ焼却施設の大気汚染・臭気等は、高度に処理されており周辺環境に与える影響は極めて少なく、安全性は極めて高く維持・管理ざれているため、ローカル発電所としての機能維持ができる。
 (立地条件の制約から数多くの焼却施設が、都市部に建設されている)

4.緊急避難施設としての都市ゴミ焼却施設
  水害・地震などの自然災害に強い焼却施設を作ることで、災害時の緊急避難施設として、「自立分散発電所」の役割を担うことが出来る。
 (焼却施設は、電力・熱の供給機能をもつ公共施設である)


  以上の如く、都市ゴミ焼却施設(発電付)に、間伐材等の木質バイオマス・汚泥・RDF・RPF等を積極的に受け入れ、焼却施設を「積極的廃棄物発電施設化=ローカル自立分散発電所化」することは、地域の活性化に寄与出来ると考える。