ではようやくですが、山形にトピックを移します。今回はどうしても、今年のJ1再挑戦とその前後にフォーカスした見方になってしまいますがご容赦ください。
早速グラフを概観しいくつかの観点でコメントしてみたいと思いますが、その前にひとつ見てみたいことが。私が今年のラインナップを見てまず抱いた感想は「年齢層高そうだなあ」でした。当たり前ですが中心選手が徐々に年齢を重ね、新たに参加する選手もそこそこのベテラン。地元出身の選手もいなくなってしまい、U-22に呼んでもらえる可能性のある選手もごくわずか。これが印象なのか事実なのか、というのが気になったので、今年のJ1チームの登録選手のデータを集めてみました。選手リストは2015年のJリーグイヤーブックから、年齢は開幕日3/7の満年齢で評価しています。
まずはJ1全体での分布です。
まずはJ1全体での分布です。

年代による若干のデコボコはあるにしろおおよそ想定どおりの分布のように思えますが、18歳が若干飛び出ているように見えます。何でしょうかね。
次に、クラブごとの平均年齢を取ります。平均年齢は満年齢を使うとちょっと正確ではなくなるので、いちおう年齢の端数も考慮して(つまり9/7生まれの人はxx.5歳)計算してみます。

山形の平均年齢は浦和、甲府に続いて高い、という結果が出ています。ちなみに、全体のグラフで見たように36歳以上になるとJ1現役としては少数派になりますが、これを個別に見てみると、

甲府に3人も所属していますね。最年長はDFの土屋選手ですが、ちょっと興味深い強化策です。ためしにこの3人を抜いた平均を取ってみると26.2歳と、およそ全体平均程度となります。年齢的にはごく少数のベテランが平均を押し上げている、ということですね。つまりチーム全体の観点では、山形の年齢層の高さは実際には2番目である、と言えます。浦和はさらに高いんですね。これもちょっと不思議な感じです。
次に、若手層を見てみます。同じデータから、U-22枠、つまり1997/1/1以降生まれでJ3のU-22に選抜される可能性のある選手を数えてみると、以下のようになります。

平均年齢の低い3クラブは、U-22年代のラインナップも充実していることがわかります。神戸までU-22に該当する選手数の多いクラブはすべてユースチームが高円宮杯プレミアリーグに参加しているという結果も、ここから直接の関係までは読み取れませんが納得できる帰結と思われます。新潟、湘南などはチーム全体の平均は低いですがU-22層は少ないという結果で、若手でもU-22よりは上の層を上手に補強しているように見えます。ここでも山形は最低順位。残念ながら年齢層が高く若手が少ない、というのがデータからも確認されました。育成の観点からはまだまだ道のりが長いと言えるのではないでしょうか。
グラフ概観

続いて全体グラフに戻り、J2以降16年の歩みを概観します。まず順位を見ると、上向き/下向きという傾向はあまり見て取れず、どちらかといえば振れ幅が広がったように見えます。山形にも徐々にJ1チャレンジの力がついてきたことと、J2が慢性的に混戦模様で、J1下位の経験程度では圧倒的な優位が築きにくい状況であることが背景にあると考えられます。前述しましたがこの16シーズンの平均順位は22.6。J2の4~5位にあたります。前々回を参照いただければ分かりますが、第3グループでも下の方、ようやくプレーオフに入るといったあたりの順位です。ちなみに昨年の順位は全体で言うと24位。昨年は実は平均を下げる程度の順位で昇格を果たしていたことが分かります。
収入はJ1初昇格の2009年に新たなステージに入ったと言えるかと思います。県自治体・財界の総合的な支援を得て、J2降格後も10億円規模を維持しています。また、2014年は運営法人を株式会社化して収入の制約をなくしており、そのこともあってか収入は過去最高を記録しています。いわゆる第2グループに向けての財務的な強化を目指していると言えます。
一方で、観客数は2009年のJ1チャレンジ初年度に最大の12,000人を記録したあと減少に転じています。J1で戦った3年間で最大の失敗と言える、田代・増田を擁して年間13位を記録しながら動員数を減らした2010年の結果が、甲府などとは逆にJ1昇格のイベントを機に地元ファン全体をミーハーから一歩進める、というチャンスをみすみす逃してしまったことを表していると考えられます。その所為でサポーターや県民が下手にJ1に慣れてしまい、J2降格、奥野体制でのいまひとつ伸び切れない成績、というその後の成果がそのまま観客離れにつながってしまう状況に陥った、と言えるのではないでしょうか。株式会社化で財務体質を強化したクラブにとって、今一番の課題はここにあると私は思います。今年も平均動員はようやく10,000人といったところ、先日のJ1みちのくダービーも14,000人に届かず。申し訳ないけれど、地元で話題になっているらしい専用スタジアム建設なんて時期尚早もいいところです。
J2参加以降、山形の監督に就任されたのは植木、柱谷、鈴木、樋口、小林、奥野、石崎の各氏です。このうち植木さん、小林さん、石崎さんが就任時点で他チームの監督経験者、その他の方は山形がJトップチームの監督初就任です。興味深いのは、経験の有無に限らず就任1年目の方が成績がよいという傾向がある、ということです。樋口さんと奥野さんはチームのモデルチェンジを図りましたが、成績にはいまひとつうまく繋げ切ることができず任期満了で退任となっています。しかし後任監督がいずれも経験豊富な昇格請負人ではありましたが、翌シーズンはチームをそれほどいじらずにディフェンスを強化することでJ1昇格に導いていることから、お二人の2年間の成果は確実にチームに残り後に繋がっていたと評価できるのではないか、と思います。
2015新戦力評価
今シーズンはケガに泣かされた1年でした。中島スタメン!と思ったらサイドバックに入ったときにはどうなることかと思いました。今年の新戦力をざっと見てみたいと思います。
GK 山岸(レンタル->完全)
言わずと知れた今年J1で戦える状況を作った立役者。山岸が残るのはまあ当然として代わりに清水を放出したのは最初えっ?と思いましたが、他のGK3名はいずれもチーム内では“若手”の20台前半以下。どうも山岸に後続の育成をも期待しているように思えます。
DF 渡辺広大
よい補強でしたがケガだけが誤算。たらればですが、西河とのペアであと半分でも出れていたら順位はもっと違っていたと思われるだけにすごく残念。残り試合で見せ残した実力を証明してほしい。
MF アルセウ
ニューカマーの中では文句なしのベスト。J1レベルのプレーを続けてくれた。来年は違うJ1チームにいそうだなあ・・・
GK 中村(レンタル復帰)
あと数年は山岸が正GKの座を占めると思いますが、2番目争いは熾烈になりそう。
DF 瀬川
意外に若かった。
DF 宇佐美
彼もケガで実力発揮できなかったと思われます。タッパそれほどないのにガッツ溢れるプレーがいいですね。
DF 高木利弥
前半、DFにケガ人が続いた状況で出場機会をつかむとキラリと光るオーバーラップを見せた。清水戦での残り9分での同点劇の立役者だが、ディフェンスのきついプレッシャーに慣れてもっと活躍してほしいところ。
GK 摂津
ユース出身の期待の若手。
MF 川西(レンタル->完全)
チームに違いをもたらす男。中島先生がもしあと5歳若くて同い年で並んでたとしたら凄いことになってたと思うんだけどなあ。
で、シーズンが始まるや否やけが人続出、とにかく借りれるだけ借りてきたわけですが、伊達に年齢が高いだけではなく中々よい補強ができているのでは、と思います。
DF 高木純平(レンタル)
高木先生、来年同じJ2だったらこっちでやってもらえませんかね?
DF 中村
所属チームにとらわれない枠で獲得できたと思ったらケガで離脱・・・チームの今年前半を象徴する選手となってしまいました。
MF 小椋(レンタル)
松岡の穴を埋めるべくまたもガンバから来てくれたボランチ。中盤が締まるようになったのでよかったと思います。
FW 高崎(レンタル)
高さを武器にできるし動いてスペースも作れる。あとは点だけですな先生。あと、特徴がかぶってる選手の奮起も期待したいところ。
何度も言ってる気がしますが、今年もし降格してもチーム的には気にならないのですが、ファンやサポーターの勘違い、つまりJ1に残留して当たり前のはずなのに、というマイナス思考が非常に懸念です。甲府だって1回逆戻りした後で今の定着に至っているのです。あまり短絡的な視野に収斂しないでほしい。だって、もう少しファンの力があれば、山形はもっと強くなれそうなんだから。
参考:Jリーグイヤーブック2015















