ではようやくですが、山形にトピックを移します。今回はどうしても、今年のJ1再挑戦とその前後にフォーカスした見方になってしまいますがご容赦ください。

早速グラフを概観しいくつかの観点でコメントしてみたいと思いますが、その前にひとつ見てみたいことが。私が今年のラインナップを見てまず抱いた感想は「年齢層高そうだなあ」でした。当たり前ですが中心選手が徐々に年齢を重ね、新たに参加する選手もそこそこのベテラン。地元出身の選手もいなくなってしまい、U-22に呼んでもらえる可能性のある選手もごくわずか。これが印象なのか事実なのか、というのが気になったので、今年のJ1チームの登録選手のデータを集めてみました。選手リストは2015年のJリーグイヤーブックから、年齢は開幕日3/7の満年齢で評価しています。
まずはJ1全体での分布です。

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年代による若干のデコボコはあるにしろおおよそ想定どおりの分布のように思えますが、18歳が若干飛び出ているように見えます。何でしょうかね。

次に、クラブごとの平均年齢を取ります。平均年齢は満年齢を使うとちょっと正確ではなくなるので、いちおう年齢の端数も考慮して(つまり9/7生まれの人はxx.5歳)計算してみます。

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山形の平均年齢は浦和、甲府に続いて高い、という結果が出ています。ちなみに、全体のグラフで見たように36歳以上になるとJ1現役としては少数派になりますが、これを個別に見てみると、

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甲府に3人も所属していますね。最年長はDFの土屋選手ですが、ちょっと興味深い強化策です。ためしにこの3人を抜いた平均を取ってみると26.2歳と、およそ全体平均程度となります。年齢的にはごく少数のベテランが平均を押し上げている、ということですね。つまりチーム全体の観点では、山形の年齢層の高さは実際には2番目である、と言えます。浦和はさらに高いんですね。これもちょっと不思議な感じです。

次に、若手層を見てみます。同じデータから、U-22枠、つまり1997/1/1以降生まれでJ3のU-22に選抜される可能性のある選手を数えてみると、以下のようになります。

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平均年齢の低い3クラブは、U-22年代のラインナップも充実していることがわかります。神戸までU-22に該当する選手数の多いクラブはすべてユースチームが高円宮杯プレミアリーグに参加しているという結果も、ここから直接の関係までは読み取れませんが納得できる帰結と思われます。新潟、湘南などはチーム全体の平均は低いですがU-22層は少ないという結果で、若手でもU-22よりは上の層を上手に補強しているように見えます。ここでも山形は最低順位。残念ながら年齢層が高く若手が少ない、というのがデータからも確認されました。育成の観点からはまだまだ道のりが長いと言えるのではないでしょうか。


グラフ概観

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続いて全体グラフに戻り、J2以降16年の歩みを概観します。まず順位を見ると、上向き/下向きという傾向はあまり見て取れず、どちらかといえば振れ幅が広がったように見えます。山形にも徐々にJ1チャレンジの力がついてきたことと、J2が慢性的に混戦模様で、J1下位の経験程度では圧倒的な優位が築きにくい状況であることが背景にあると考えられます。前述しましたがこの16シーズンの平均順位は22.6。J2の4~5位にあたります。前々回を参照いただければ分かりますが、第3グループでも下の方、ようやくプレーオフに入るといったあたりの順位です。ちなみに昨年の順位は全体で言うと24位。昨年は実は平均を下げる程度の順位で昇格を果たしていたことが分かります。

収入はJ1初昇格の2009年に新たなステージに入ったと言えるかと思います。県自治体・財界の総合的な支援を得て、J2降格後も10億円規模を維持しています。また、2014年は運営法人を株式会社化して収入の制約をなくしており、そのこともあってか収入は過去最高を記録しています。いわゆる第2グループに向けての財務的な強化を目指していると言えます。

一方で、観客数は2009年のJ1チャレンジ初年度に最大の12,000人を記録したあと減少に転じています。J1で戦った3年間で最大の失敗と言える、田代・増田を擁して年間13位を記録しながら動員数を減らした2010年の結果が、甲府などとは逆にJ1昇格のイベントを機に地元ファン全体をミーハーから一歩進める、というチャンスをみすみす逃してしまったことを表していると考えられます。その所為でサポーターや県民が下手にJ1に慣れてしまい、J2降格、奥野体制でのいまひとつ伸び切れない成績、というその後の成果がそのまま観客離れにつながってしまう状況に陥った、と言えるのではないでしょうか。株式会社化で財務体質を強化したクラブにとって、今一番の課題はここにあると私は思います。今年も平均動員はようやく10,000人といったところ、先日のJ1みちのくダービーも14,000人に届かず。申し訳ないけれど、地元で話題になっているらしい専用スタジアム建設なんて時期尚早もいいところです。

J2参加以降、山形の監督に就任されたのは植木、柱谷、鈴木、樋口、小林、奥野、石崎の各氏です。このうち植木さん、小林さん、石崎さんが就任時点で他チームの監督経験者、その他の方は山形がJトップチームの監督初就任です。興味深いのは、経験の有無に限らず就任1年目の方が成績がよいという傾向がある、ということです。樋口さんと奥野さんはチームのモデルチェンジを図りましたが、成績にはいまひとつうまく繋げ切ることができず任期満了で退任となっています。しかし後任監督がいずれも経験豊富な昇格請負人ではありましたが、翌シーズンはチームをそれほどいじらずにディフェンスを強化することでJ1昇格に導いていることから、お二人の2年間の成果は確実にチームに残り後に繋がっていたと評価できるのではないか、と思います。

2015新戦力評価

今シーズンはケガに泣かされた1年でした。中島スタメン!と思ったらサイドバックに入ったときにはどうなることかと思いました。今年の新戦力をざっと見てみたいと思います。

GK 山岸(レンタル->完全)

言わずと知れた今年J1で戦える状況を作った立役者。山岸が残るのはまあ当然として代わりに清水を放出したのは最初えっ?と思いましたが、他のGK3名はいずれもチーム内では“若手”の20台前半以下。どうも山岸に後続の育成をも期待しているように思えます。

DF 渡辺広大

よい補強でしたがケガだけが誤算。たらればですが、西河とのペアであと半分でも出れていたら順位はもっと違っていたと思われるだけにすごく残念。残り試合で見せ残した実力を証明してほしい。

MF アルセウ

ニューカマーの中では文句なしのベスト。J1レベルのプレーを続けてくれた。来年は違うJ1チームにいそうだなあ・・・

GK 中村(レンタル復帰)

あと数年は山岸が正GKの座を占めると思いますが、2番目争いは熾烈になりそう。

DF 瀬川

意外に若かった。

DF 宇佐美

彼もケガで実力発揮できなかったと思われます。タッパそれほどないのにガッツ溢れるプレーがいいですね。

DF 高木利弥

前半、DFにケガ人が続いた状況で出場機会をつかむとキラリと光るオーバーラップを見せた。清水戦での残り9分での同点劇の立役者だが、ディフェンスのきついプレッシャーに慣れてもっと活躍してほしいところ。

GK 摂津

ユース出身の期待の若手。

MF 川西(レンタル->完全)

チームに違いをもたらす男。中島先生がもしあと5歳若くて同い年で並んでたとしたら凄いことになってたと思うんだけどなあ。


で、シーズンが始まるや否やけが人続出、とにかく借りれるだけ借りてきたわけですが、伊達に年齢が高いだけではなく中々よい補強ができているのでは、と思います。

DF 高木純平(レンタル)

高木先生、来年同じJ2だったらこっちでやってもらえませんかね?

DF 中村

所属チームにとらわれない枠で獲得できたと思ったらケガで離脱・・・チームの今年前半を象徴する選手となってしまいました。

MF 小椋(レンタル)

松岡の穴を埋めるべくまたもガンバから来てくれたボランチ。中盤が締まるようになったのでよかったと思います。

FW 高崎(レンタル)

高さを武器にできるし動いてスペースも作れる。あとは点だけですな先生。あと、特徴がかぶってる選手の奮起も期待したいところ。


何度も言ってる気がしますが、今年もし降格してもチーム的には気にならないのですが、ファンやサポーターの勘違い、つまりJ1に残留して当たり前のはずなのに、というマイナス思考が非常に懸念です。甲府だって1回逆戻りした後で今の定着に至っているのです。あまり短絡的な視野に収斂しないでほしい。だって、もう少しファンの力があれば、山形はもっと強くなれそうなんだから。

参考:Jリーグイヤーブック2015
続いて山形のグラフを読み込む予定でしたが、ちょっと思いつきで各クラブの監督の交代状況をグラフに書き足してみたので、眺めてみましょう。年ごとに、以下のように色をつけてみます。
黄:監督就任1年目
緑:監督就任2年目
青:監督就任3年目以上
赤:シーズン内の監督交代

これだけだと例えば赤の年の更迭された監督は前年からの継続なのかどうか、と言った情報はつぶれて読めないことにはなるのですが、チームの安定度を経過として概観するだけならそこそこ分かるのではないか、と。

仙台
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甲府
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鳥栖
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札幌
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福岡
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湘南
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んで、

山形
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詳細を語るにはそれぞれの個別状況を見ないといけないと思いますが、昇降格に関する特徴を見てみると
・赤の翌年に昇格しているケースはない
・昇格の前年は黄のケースが多い
あたりが読み取れるかと思います。

あと、2部制施行前からJクラブの体裁を持っていたかどうかで、シーズン中に監督交代をするかどうかの判断に違いが出ているように見えます。札幌、福岡、湘南、それにJFLを準会員として戦っていた仙台(旧称ブランメル仙台)は、この15シーズンほどの間に3,4回、シーズン途中で監督交代の判断を下しているのに対し、甲府、鳥栖はこれまで1回ずつで、どちらもJ1を経験してからの発生です。Jリーグのヒエラルキーの上位に留まるため、という動機の発生に伴って、劇薬と言われるこの方法が次第にクラブの選択肢の中に含まれてくる、ということかと思われます。ご存知のように、これまで山形ではシーズン途中での監督交代はありません。これから覚えていかなければならない、ということかと思いますが、まだちょっと早いかなあ。湘南が、シーズン途中の監督交代をあきらめるようになってからJ1再昇格のエリアに浮上してきたように見えるのが面白いですね。ただ、これはこのグラフだけを見ての推測に過ぎないので、本当にそうなのかの判断にはもっと詳細な分析が必要だろうと思います。

何故今こんな記事を書いているか。容易に推測されると思いますが、もし山形が今年降格してしまったら、また新しい監督を探すことになるのだろうか?という疑問が湧いてきたからです。昨年シーズン後半の予想外の躍進によりJ2年間6位で昇格してしまい、今年は序盤からけが人に泣き、未だに欠くべからざる松岡、広大抜きでリーグを戦わざるを得ない状況ながら、最下位とは言え現在までのところ「プレーオフのジンクス」と言われるダントツビリとまでは言えない戦いぶりを見せています。記憶では確か、降格したのにそのチームの方向性の継続を優先して監督を続投させたチームがあったように思って。それが湘南でしたね。個人的には、この状況が続くのであれば、来年もう一度石崎さんにチーム作りを任せてみてもいいのかな、という風に思います。

閑話休題。次回こそ山形のグラフを読み解きます。

参考資料:Jリーグイヤーブック
前回の順位表を元に、第3グループから前回経営問題で対象外とした東京Vを除くチームと、第2グループに食い込む実績を挙げている仙台のグラフをまた見てみたいと思います。

仙台
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仙台は山形OBでもある手倉森監督のもと、大震災の年'11とその翌シーズンの大健闘が記憶に新しいところです。監督最後の年はACLにも出場していますが、年間順位は前年から大きく落としました。現在のJリーグの問題のひとつである、中堅クラブをACLに送り出しては地力を落とさせる罠にはまってしまったと言えるでしょう。その後は降格争いの結果なんとか残留を勝ち取る状態に戻っています。ぜひなんとかこの状態をやり過ごし、再度J1の中堅として上位を脅かす存在に返り咲いてほしいと思います。J1再昇格後は予算額を徐々に拡大し、若干下がり気味ではありますが仙台スタジアムも15,000超の水準を維持しており、リーグ全体の観点で見てもプロビンチャを超える中堅チームの筆頭と言えるのではないか、と思います。

甲府
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かつて「J2のお荷物」と呼ばれた姿は影も形もなく、最近は優良地方クラブの右代表とされる甲府。前回も指摘したとおり、チーム戦力がクラブの地力を超えてJ1に昇格「してしまった」初回のJ1挑戦の機会を逃さず、地元密着のクラブとしてのリニューアルを成功させ、その後もJ2上位~J1下位を行き来しながら予算額、観客数を落とさずに継続的な活動を行っていることがグラフからも読み取れます。ただここには記載していませんが、監督がチームにフィットするかどうかで成績に大きな振れが見られます。これは甲府に限った話ではなく、トップレベルの選手を並べられるわけではないJ1下位以下のチームではどこも同じなのですが、チームの継続性を考える上ではちょっと強化部の仕事も冷静に反省評価する時期なのかも知れません。現に今年もJ1最下位に沈み監督を更迭しましたが、そのとたん勝ち癖がつく、というのもチームコントロールの点ではちょっとどうかな、という気はします。そのうまくいかなかった監督も元山形監督でしたし、交代後の試合で勝ち癖をつけさせたのも山形だったんですがね・・・

鳥栖
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鳥栖は前回、予算額などの観点から「山形が目標とする」範囲には至らないとしてコメント対象から外していましたが、山形の降格と入れ替わりでJ1昇格を果たすと尹晶煥監督の下大躍進を遂げ、昇格初年度いきなり年間5位。今はスカパーに個別の番組があったり、中断期間中にアジア巡業中のヨーロッパ強豪と親善試合を組んだりと、なんだか置いてかれた感じすらしますが、グラフを見てみると昇格を境に予算額がいきなり倍以上の15億まで増額していたり観客も12,000水準になるなど、急激に地元の注目を集めていることが分かります。ここしばらくは九州のチームにやや勢いが欠けている様子の中、筆頭としてJ1で踏ん張る以上の活躍は賞賛に値します。鳥栖のスタジアムは仙台、鹿島や千葉と比べて無骨な感じの残るイングランド風のすばらしい施設で、定員が25,000ありますのでこの好成績を追い風に是非毎試合満員を実現してほしいと思います。

札幌
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中計策定など地方クラブとしてのお手本的な活動が注目される札幌ですが、成績自体はここのところなかなかJ1に顔を出すのが難しくなってきている状態です。3年前と比べてもJ1とJ2を行き来するチームが多彩になってきており、また最近はJ1を経験したからと言ってJ2で上位を張れるとは必ずしも言えない事例が多く出てきていているなど昇格の難しさの証左といえますが、札幌もそのアオリを食っているチームの一つと言えるでしょう。グラフで気になるのは予算額の意外な小ささで、政令指定都市を中心に大きな市場が控えているはずなのに、野球チームの人気度合いに比べてどうも地元の支援をうまく集められていないような印象があります。これは後述する福岡もそうですが、山形と同じ悩みを抱えているのでは、と想像します。すなわち熱しにくく冷めやすい、上位に進んでも集客に貢献するわけでもないが、成績が悪いとすぐお客が離れていく。成績に簡単に左右されない、いわば「ミーハーでない」地元の注目を継続的に集めるためにはどのような活動が必要なのか、仙台や甲府との違いは何か。きちんと分析を行う必要があるように感じます。余計なお世話とは思いますが、野々村社長もTV番組の司会とかやってる場合なのかな、とちょっと心配になります。

福岡
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福岡も、地元愛の強い風土の大都市をバックに持ちながら、ここ数年の予算額は10億円を切る規模に止まっています。何より、グラフのぱっと見右肩下がりな印象が強烈です。クラブの経営問題もずっと燻っており、予断を許さない状況と言えるでしょう。そのような中、最近では降格後の監督選びに失敗して最低順位に沈んだ後わざわざ外国人監督を招聘したり、ちょっと理解しずらい経緯をたどります。これでは「地元のチームだから見に来てください」という呼びかけを魅力的に響かせるのは難しいだろうと思います。
クラブの出自そのものが藤枝からのフランチャイズ移転で始まっており、地元との連携はクラブ発足当初から話題になり続けていましたが、そろそろ本当の福岡のチームとしてのアイデンティティを確立させないと、近い将来に何かの外的不安要因にチームが引き倒されてしまうのではないか、という不安をぬぐえない感が残ります。

湘南
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曺貴裁監督による昨年のJ2でのぶっちぎり優勝、今年もJ1中位への躍進と華々しい印象のある最近の湘南ですが、反町さんから現体制への移行の時期と重なるつい数年前には経営問題が発覚し、その解決に喘いでいました。'11年にグラフがぐっとつぶれたように見える部分がそれにあたります。その後はチームの好調にあわせて再昇格のころの規模に戻しています。危機を回避した経緯もそうですが、なぜそのような状況に陥ったのかの評価もまた、我々が他山の石とすべき要素が多く含まれている重要なポイントであるように思います。


各チームとも、シーズンを重ねる中で昇格・降格、躍進・低迷を繰り返し、それぞれの経験値を積み重ねてきています。それぞれに対するコメントでも若干触れましたが、グラフから読み取れる内容を中心にいくつかの要素を分析し、続いて山形のグラフを読み取ってみたいと思います。
中計の記事も更新せずにまた日が経ってしまっています。まあ暑いしねえ、最下位だし・・・

中計はまた書き続けるつもりでいますが、ちょっと気分を変えて、以前行った順位平均によるクラブの比較をまた行ってみたいと思います。まずは2部制施行1999年以降の全チームの平均順位です。計算方法は前回記事を参照ください。前回と比較してみる意図もあり、計算方法などはすべて同じにしてみました。


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J3もできて結構な情報量になっています。まずは第1グループから、順番の入れ替わりはありますが顔ぶれは変わっていません。J2で2年目の磐田がボーダー上です。この中で年間優勝の経験がないのが清水ですが、今シーズンは降格枠に留まって苦戦しています。このまま第2グループに滑り落ちてしまうのでしょうか。第2グループでは広島や柏に年間優勝の記録が出ています。前回のデータと比べるとグループ毎のいわゆる類型というか特徴というかが染み出すような結果になっているようにも見えます。第2グループ全体では2チームの入れ替わりがありました。仙台が加わり、東京Vが外れています。

前回の第3グループは、当時のJ2の半分までという所で区切っていましたが、今回はプレーオフ進出順位であるJ2-6位、つまり24位までをグループ化してみます。そうすると、前回入った横浜FC、および今年破格のスピードでJ1昇格を果たした松本、昨年初J1だった徳島は平均では第4グループ上位、という位置づけになります。J3の位置は新たに第5グループということになりますが、ここはまだ始まったばかりでデータ上は顕示される傾向はまだありません。しかし、初参加の山口の大健闘や、昨年J3優勝でJ2昇格した金沢の奮闘など、今シーズンのデータ反映で興味深い傾向が現れてくる可能性は高いと思えます。

順位を眺めているだけでも結構酒のツマミにはなると思うのですが、ここでは前回同様、第3グループの動向について新しい情報を加えて再度評価してみたいと思います。

参考:Jリーグイヤーブック 2015
もうファーストステージ終わってら・・・

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オフィシャルホームページから中期計画を参照することができた札幌、仙台、FC東京、湘南の4クラブについて、まずはそれぞれの規定内容を眺めてみます。

札幌:「中期経営計画2015年-2017年」

記事に着手した段階では、昨年2014年までを期間とする3ヵ年計画しか参照できなかったため、古い情報であることが評価的にはマイナス点になっていたのですが、期末だったということでちょうど刷新を行っていたところだったようです。というか、前回の記事からからどんだけ間空けてんだよ、って話ですが。

さて、その新しい中期計画ですが、前期にあたる内容と比べると若干具体的になったようにも思えますが、よく見ると内容が具体的というより施策そのものがかなりドラスティックであるため、イメージが具体的にならざるを得ないという方がより正しいかも知れません。すなわち、ホームタウンの拡張およびそれに伴うチーム名の変更、事業の拡張、といったところ。
一方で、たとえば「J1に定着したい」「北海道全体から好かれるチームになりたい」という目標と、経営理念にある「共有体感」「コミュニティ」の具現する姿、そしてそれに向けてこの3年間に行おうとする施策との間に、うまく関連付けの説明がなされているか、というとちょっと明確とはいい難い、という感想です。たとえば3年間で何を実施し、どのように変わりどうなろうとしているのか、と言ったプロセスを具体的に読み取ることが難しく、従って3年後に評価反省をするための基準軸が見えてきません。「何となく想いは伝わるんだけど、頭と中とおしりが繋がらない」という印象は前回から大きく変わっておらず、我々の目指す中計記述の先例とするには一歩及ばず、というところでしょうか。

仙台:「第6次中期経営計画「5つの軸」」

「第6次」と謳っているところから、この活動自体は継続的に行われているであろうことが想像できます。しかしながらこの記載箇所には期間、数値目標、具体的施策といった内容がまったく記載されておらず、5つの軸についての記載内容もそれぞれが1文ずつと非常にあっさりした内容です。実際の数値目標や活動内容を定義した別の資料を参照する必要があるのかも知れませんが、ホームページからざっくり辿って見た限りにおいてはその資料を見つけることはできず、従って我々にとっては後述する「中計の定義要素」の参考にはなっても記述レベルの参考にはならなそうです。

湘南「マニフェスト730」

湘南ベルマーレはかつてベルマーレ平塚として、Jリーグ最初のエクスパンションチームにふさわしい活躍をしていましたが、Jリーグが2部構成を取る時期の前後に中堅ゼネコンであったメインスポンサーの降板により体力を落とし、その後J2で長く雌伏の時期を過ごしました。現在も社長である眞壁潔氏が2004年に就任した際に作成したのが、クラブの活動指針とも言えるこのマニフェスト730です。これはその後毎年更新を重ね、クラブも下部組織や総合スポーツクラブ化を支えるNPO法人との二人三脚で地力を積み重ねた結果、ここ数年はJ2上位~J1下位を定位置とし始めています。

大規模スポンサーを持たない地域クラブとしても、トップチームを運営する株式会社と下部組織や各種スポーツクラブを運営する別法人との二人三脚体制としても山形のよき先例となる湘南ですが、記述を見ると分かりますが10年を超える更新を積み重ねてきた結果として、大変読みにくい。また記述内容が目標よりも実績評価に重点が置かれている事もこのマニフェストの特徴です。湘南というクラブに興味がある人が時間を掛けて読めばそれなりの中身を見せてくれる内容なのですが、中計の特徴である「今後3年」といった時限的な切り口で評価しようとする場合にはその記述形式が仇となっており、中計の書き方という観点ではあまり参考にはならないようです。こちらも記述内容の分析で参考にさせていただくこととします。

FC東京「FC東京2015 VISION」

FC東京は近年、新潟を押さえ浦和に次ぐ観客動員数を達成しています。背景となる都市の人口などから出来て当然だ、と言うのは簡単ですが、歴史が20年そこそこであるJリーグの理念や百年構想をクラブが自己に引き寄せて理解し、自らのホームタウンへの地域貢献として地道に活動を続けた結果と評価することができるでしょう。そのFC東京の中期計画は、

•2011 VISION(2001年策定)の振り返り
•2015 VISIONの策定

という2部構成になっています。前半の振り返りでは、2001年に策定した5章17項目におよぶ活動計画ひとつひとつの結果と評価コメントを記載しています。中期計画として10年という期間が適切かという点は措いておいて、中期計画を振り返って評価し、その内容をオフィシャルサイトでわかりやすい形で公開している点は非常に重要であり、山形にとっても参考になります。

またそれを受けて後半は次フェーズの活動目標を7章21項目に分けて規定しています。注目すべき点は策定の背景、理念の体系、そして行動指針と基盤といった中期計画のフレームワークそのものを規定し、図解を交えて分かりやすく解説している事です。これにより、中計における各項の策定動機、位置付けや年度計画との関係について容易に理解することができ、ひとりFC東京の中期計画のみならず、他のクラブの参考としても意義深い内容となっています。


続いて、それぞれの規定内容を要素項目に分類し、「何について規定しているか」を分析してみましょう。クラブの中期計画であるからには、本来クラブの活動全体について万遍なく規定されていてしかるべきです。分類する要素軸について、まずは私の個人的な観点で挙げてみます。

要素
1) チーム
a. トップチーム、強化など
b. 下部組織の育成について
2) クラブ
a. 経営全般
b. とくに、ブランド化に関する内容
3) 地域
a. スポンサー
b. ファン、サポーター
c. 普及事業
d. その他地域貢献など

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4クラブの中期計画、またはそれに順ずる内容を、先に挙げた要素ごとにマップしてみたのが上記の表です。先述の要素、つまり私の挙げた基準分類に対して万遍ない定義かどうかを表しているに過ぎませんが、FC東京、湘南は規定された項目が多いこともあって比較的万遍なく定義されているように見えるのに対し、札幌や仙台は項目が少ないためかひとつの項目でいろいろ定義しようとして盛りだくさんになったり、ひとつの要素に関する記述が項目間で重複しているように見えます。

記述される要素が複数項目で重なっていると、理解や評価においてポイントが絞りづらく考えづらくなります。ここでシミュレートした分類はあくまでサンプルであり、要素軸自体は様々なバリエーションで定義できうるものですが、つまり中計を規定するためにはまずひとつの分類軸を定義し、その分類に対して重複なくかつ明確に目標を語ることができる程度の項目を策定することが必要、という事が理解できるかと思います。なお、分類軸に関しても追って再度検討したいと思います。


参考:各クラブオフィシャルホームページ