手にしたモラトリアムを持て余して、
あっという間に空は滲んでしまった。

あんなにも求めていた自由は、
ぶかぶかで、歩きづらい毎日で、
小石に思いっきり舌を出してみたら、
「記憶にございませんなあ」なんて、
ころころ。馬鹿にしてる。

君の手を離した事を悔やんだとて、
どうせ滲んだ空が月に裂ける迄の事。

空が裂けたらカーテンを閉めて、
さあさ今日も魔法の箱のお時間です。
瞬く両目にブラックコーヒーを、
贅沢者の僕には、繰り返す真夜中を。


ああ、お似合いね。
とてもよくお似合い。