春といえば、桜と菜の花、さらに背景には残雪の山…そんな構図が好きです。今回は、菜の花の話から始めます。
葉の花、アブラナ科の総称です。この時期に出回る茎立ち菜、小松菜、アブラナをはじめ、ダイコン、カブ、白菜、キャベツ、ブロッコリー、ザーサイなども仲間です。いつも食卓を賑わしてくれる野菜たちで、葉から茎、さらには種まで利用されます。
先日、レモン入りのマスタードをいただき、美味しく食べました。どこで作っているのだろうとラベルをみると、猪苗代町…俄然、興味が湧きました。マスタードもからし菜を原種とする菜の花の仲間です。タネの辛味を味わう調味料です。マスタードといえば、鮮やかな黄色を思い浮かべますが、これはターメリックで着色しているのだそうです。葉や茎も漬物やお浸し、炒め物にすると美味しいとのことです。
ターメリック、色つけ以外の効果もあります。食欲増進、消化増進、さらには抗酸化作用もあるのだそうです。胆汁の分泌も増えるので、コレステロールも減るんだとか、凄いです。でも、摂り過ぎると胸焼けするようです。
以前からアブラナ科の野菜摂取ががん予防になるとの疫学研究が世界中で行われています。最近でもブロッコリーを食べると大腸癌の予防になるとのmeta analysis (BMC Gastroenterol 2025; 25:575)があります。一体、どれくらい食べれば良いのかが気になります。
アブラナ科の植物を1日40〜60g程度摂るのが良いようです。具体的には茎たち菜をお浸しにして、小皿1杯程度です。これなら無理なく食べられる量です。アブラナ科の植物、人間界の奥深くに食い込んでいます。
閑話休題。
この春、近所から杉の木をいただいたので、早速薪作りを始めました。一昨年も杉薪を使ったのですが、杉皮を剥かずに乾かしたところ、皮と木質の間で、虫が繁殖し、ボロボロになった薪が多数出てしまいました。
カミキリ虫とキクイムシの仕業です。カミキリ虫は樹皮に卵を産みつけ、幼虫が皮の下に潜り込みます。ウネウネとしたトンネルを作りながら、木を食べて育つのです。
一方のキクイムシは驚くべき生態を身につけています。樹皮から木質に届くほどの穴を開けて、卵を産みつけます。さらにこの穴に共生する菌を詰め込み、繁殖させます。こうした昆虫は「養菌性昆虫」と言われます。この菌(アンブロシア菌)がセルロースやリグニンを分解し、それを昆虫たちが食べて暮らします。実によくできた共生関係です。
杉皮の下は外側から想像できないほど水分が多くて、白くてツルツルです。ちょっとゾクッとするほどです。ガサガサの樹皮と白く滑らかな木質の間のシャワシャワした剥離層を見つけて、そこで剥離すると「かつら剝き」よろしく帯状に樹皮が剥けます。快感!です。また、樹液の香りは、まさに森林そのものです。蒸留酒「ジン」の香りに似ています。
ジンの香り付け(ボタニカル、呼ぶそうです)に使うジュニパーベリー、これはヒノキの実から抽出するアロマですが、主成分のα-ピネンなどが杉の樹液の香りと共通しているんです。それで、ジンの香りがするのです。
林業の方の経験則では皮を剥いでおくと、こうした昆虫たちの害が減るそうです。乾燥すると剥きにくくなるので、水分が多いうちに作業をするのが良いそうです。
最初の2、3回は喜々として、杉の皮剥きをしました。しかし、相手は杉。忘れていました、花粉もついているのです。私は、もともと花粉症はひどくなかったのですが、大変なことになりました。
作業にも慣れてきた頃のことです。鼻腔粘膜が、突如として、大量の鼻水を生産し始めます。なんの前触れもなく、鼻水が垂れてきて、最初は汗かと思ったほどです。目頭も熱を帯び、痒くなります。鼻を拭きながら、皮剥きを続けましたが、効率が上がりません。キブアップ!
アレルギーだと自覚し、デザレックスを飲んで作業を終了しましたが、「洟垂れじじい」状態は翌日も続きます。鼻孔周辺の皮膚は赤く爛れました。数日で症状は改善しましたが、暴露量が多すぎたのでしょう。杉は要注意です。残った杉薪剥きには、マスクとゴーグルの完全装備で望むつもりです。