「憧憬」


君は思う


この幸せな時間がいつまで続くのか


それはまるで触れただけで壊れてしまいそうなほど


脆く儚いものであると


そんなことくらい知らないわけではないのだけれど


それでも君は考えてしまう


幸せとはつまり 永久に続く平凡への憧れ


線香花火の最後の灯がぽとりと落ちるその瞬間


真っ暗な静寂のなかで訪れる


さざなみのようなあの感覚


そのとき君は 終わってしまった幸せを振り返るだろう


そして懐かしさと共に想い出すだろう


ささやかではあるが 美しいあの火の華を


そうしてまた憧れるのだ


それを何度も繰り返すのだ


永久に繰り返すのだ