アトピアテーマ「アトピー人生の思いを語る」
の見本として前回は
二十六歳の自分から未来の自分へ宛てた
を書きました
今回の見本は
今の自分から過去のあの日の自分に宛てた
『手紙~拝啓 二十六の君へ』
を書いてみました
今回も書いているといろんなことが思い出されました
忘れていた出来事や気持ちも思い出しました
今回の文章も書いているうちに長くなり約2300文字
先日ある方の丁寧な手書きでの人生振り返りを拝見して
見習って手書きしようかなと思いましたが
楽をしてしまいました・・・
拝啓 二十六の君へ
二十六の頃の君は
アトピーが再発してしまい
なにをしてもどうにもならない頃だろう
これからどうやって治療すべきか
これからどうやって生きていくか
進むべき道を迷っている君に向けて
未来の俺から今の思いと言葉を贈ろう
初めて湯治場に行った時のことはたまに思い出す
自宅湯治で約2年間イヤというほどお風呂に浸かって
もう一生分お風呂に入ったと思っていたのに
今度は本格的な温泉湯治を始めている
栃木の温泉は良かった
いろんな人に会った
さすが温泉豊富な県だけあって
名湯がいろんなところにある
アトピー湯治の人が意外と多く利用していることも知った
人との縁もあった
栃木の自然も味わった
栃木の食も味わった
正直栃木に引っ越して、仕事しようと思ったくらいだ
とにかく湯治場の温泉にすっかりハマってしまった
源泉は本当に気持ちが良い
すっかり温泉好きになってしまって
全国のいろんな温泉に行くようになった
アトピーだったから温泉が好きになったと思う
アトピーでなかったら絶対にここまで温泉好きにはならなかったはず
そして温泉好きになったから旅行好きになったと思う
旅先では必ず温泉に入れるホテルか、温泉銭湯の近くに泊まることにしている
変な話だけどアトピーだったからこそだろう
ところで君の心の中でかすかに目指している仕事に
現在就いている
アトピー治療のことだけで頭がいっぱいだろうけど
じきに道を決めるだろう
リフレクソロジーの勉強と仕事をしたことで体と東洋医学の不思議さ、面白さに気づいているだろう
それをもっと深く知りたいと思っているだろう
もう専門書も買っていると思う
まだ基礎の基礎の知識しかない君には難しすぎるだろう
こんなのを勉強できるのかと思っているだろう
でも今は不思議と理解できるようになっている
しかも面白さを感じることも増している
さらに体の不思議なチカラを感じる力も身についている
こんなことは想像もできないだろう
子供の時から不思議なものは大好きだった
今も大好きだ
そのおかげで不思議な人との出会いが増えていくだろう
とにかくその強い興味をもっと深めることだ
そうすれば並みの興味の人よりも深く勉強することができる
その強い興味はアトピーの治療に活かすことができる
温泉で自然の不思議なチカラに触れた
リフレクソロジーで体の自然の不思議なチカラに触れた
20代の時期にその2つの自然に触れて
その不思議なチカラを実感したことで
進む人生が決まったんじゃないかと今思っている
そのままの興味で進んでいけ
でも二十六歳から先の人生も、そううまくは行かない
アトピーも仕事も願ったようには行かない
でもいつも思う
アトピーの生き地獄の辛い体でよく生きてきたと
体も心も辛い状況でもいつもいつも
曲がりなりに、どうにかやってきた
その「曲がりなりに」はアトピー人生で
意識せず身についた「生きる力」だと思っている
普通の健康な人だっていろいろな辛い出来事があるだろう
でもその辛い出来事を
アトピーの辛い状況を同時に背負いながら乗り切ってきた
曲がりになりにも乗り越えてきた
辛い、キツイ体でと心で曲がりなりにもやっていく力は
いつの頃からか強さなんじゃないかと思うようになった
どんなに年を重ねても、経験を重ねても
「辛い」「イヤだなぁ」なんて思うことはしょっちゅうだ
だけど「曲がりなりにもやっていく」
という思いだけは持っている
決して楽観的な見方ができるようにはなっていないけれど
どうにかやっていくしかないと思ってやってきた
子供の時から決して諦めない信条だけは守ってきた
その強い自分の決まりでも
三十を過ぎた頃から破ってしまおうかと思ってしまう時が出てきた
あまりに絶望して
「もうアトピーがない体を目指すことは諦めようかな」
と思ったことが時々あった
何回考えてもこんな痒い体、痛い体、ムズムズした体で
何十年も生きていくのはあまりにも辛すぎる
六十、七十、八十歳になって
このアトピーのままの体を想像すると恐ろしかった
どうにか諦めなかった
どうしても諦められなかった
そうやってアトピー人生を生きるうちに
どうにか工夫する力もついたみたいだ
いつもアトピーが治る方法を「なにか道はあるはずだ」
と治療方法を探してきた
でも期待したように上手くいかないことは数えきれない
科学者の研究には遠く及ばないけど
試行錯誤はいっぱいしてきた
子供の頃に科学者に憧れた
大人になった今も憧れは強い
特にエジソンが大好きだ
大人になってテスラの存在も知り、スゴイと思った
二人がライバルだと後に知ったが、どちらも好きだ
その他にも尊敬する科学者はいっぱいいる
科学者、研究者と呼ばれる人達はそれだけで尊敬してしまう
そんな科学者精神をほんの少しだけもらっているのかもしれない
そして今、体は夢見た体になっている
なにもない体を目指してきたけど
なにもない体は全く想像できなかった
秋の今、外から虫の音が聴こえてくる
毎年秋の虫の音はいろんな思いで聴いてきた
ほとんどの夏は多少なりとも悪化したから、
それに続く秋も症状は続いている
だから虫の音が聴こえ始めると、
過去の秋の状態を思い出して
その年の状態と比べる
虫の音は辛さを和らげてくれる音の薬だ
だから毎年虫の音が秋のささやかな楽しみだ
昼間でも辛い体で身動きできずにジッと座っている時
虫の音を聴いていると切ない気持ちになる
でも同時に静かな気持ちだった
朝まで眠れない夜は虫の音で気持ちが落ち着いた
イヤになりそうな長い夜の時間をどうにかやり過ごしてくれる
気を紛らわせてくれる
この何年かで体が変わっていくにつれて
虫の音を聴いている時の気持ちが変わっていった
今、虫の音を聴く気持ちは純粋な心地よさだ
他の感覚に邪魔されずにただ味わっている
二十六歳の俺へ
そのまま曲がりなりにも生きていけ




