すごくインディーズ臭がしたが、普通にうまい映画。情熱的だが静の描写すら勢いだけでグイグイくる韓国映画のインディーズものよりいい余韻を残す。近代のハンガリー映画は始めて観たような気もするが、文化の差異があろうと欧米人の表現力はなんだか独特なユーモアと地に足がついた審美眼と愛がある、言語形態にあるのか信仰があるかないかにあるのかリビドーの違いかわからないが技術が有る無し関係なしに表現が豊かなのは何でか考えてしまった。ドイツ人とオランダ人の映画人と映画作ったことがあるがヨーロピアンは何か表現が我々と違う(彼等は日本映画を異常にリスペクトしてる…)
「人生に乾杯」はストーリーはシンプルで老人の「俺たちに明日はない」「テルマ&ルイーズ」だが、役者も設定もいいのだからデビット・リンチの「ストレイトストーリー」みたいにもう少し長めの描写と心象シーンがあるといいと思った。流行だからといってドライにやらないで多少大上段でもメロドラマを展開したらよかった気がする、それをやってまったくサントラ無しというのがよかった。多少大上段にしたら音楽で饒舌にしないというのがいい気がする。ぶっちゃけとってつけたみたいなライ・クーダーみたいなサントラは邪魔だった。じっくり描いてサントラ無しがよかったなぁ…あとフィルムの色がなんであんなに彩度が薄い気がする…カラコレがあんまり好きな色じゃない感じ、寒さが伝わってくるが不思議と物足りない色。ハンガリーという国の背景を知らないからなのかもしれないが、世代的に第二次大戦や赤狩りを経験してる世代があんな感じなのかなと思った。もっと寄添って生きて来た夫婦の感じがあってもいいような気もした。現在はドライでも何かの瞬間に夫婦の絆がわかりやすいくらいドラマティックに展開した方が更に泣ける作品になった気がする、映画な
のだからそれくらいのさじ加減があっていいような気がした。描写はリアルなのかもしれないが今一つボディブローが伝わらない気もする。映画はやはりそういう性質があるからさじ加減が難しい。若い頃の主人公の老夫婦二人の回想シーンが中途半端にあるならもっとメロドラマであってもいいかと思った。ほんとにドライにリアルにやるなら過去は写真などだけで一切描かない、現在ある現実の世界で過去を共有した人間の会話でのみ過去を描くべきだと思う、ドライにやるなら。
映画としていいのだが何かが微妙に足りない気がした。画質と画角かな…
どこの国も老人はそれなりに素晴らしい、人生経験が豊富な人間が老人ホームに入れられてたり隔離されていたりするような姥捨山状態なのはやはりもったいない、核家族化したのがいいのか悪いのか考えさせられた、衰弱してやがて死んでいく知恵のある人間を孫が間近で見届ける意味がある気がする。