https://access-journal.jp/62504


~🌐~🌐~🌐~🌐~🌐~🌐~🌐~🌐



SAPIOの記事がネットに出ていました。


製薬会社から謝礼の医師に民主三宅雪子氏「常識とずれてる」
2011.12.06 16:00

ずさんな診療、安易な向精神薬の処方を行なう医師。多剤大量処方という日本の精神医療の悪弊。そして小児への向精神薬の投与。日本の精神医療はさまざまな問題を抱える。10月25日に衆議院の「青少年問題に関する特別委員会」でも向精神薬の問題が取り上げられ、大きな波紋を呼んでいる。ここでは、日本の精神医療界のトップたちと、製薬メーカーの“不適切な関係”についてメスを入れる。医療ジャーナリスト伊藤隼也氏が報告する。

* * *
うつ病治療の第一人者とされる日本うつ病学会理事の野村総一郎氏は、「市民の人権擁護の会」が行なった情報公開請求によって明らかになったところによると、2008年4月から2009年9月までの約1年半の間に「謝金」「講演料」などの名目で製薬会社などから約72万円を受け取っている。金銭の授受に関して野村氏に取材を申し込んだが、本稿締め切りまでに回答はなかった。

さらに巨額の金銭を受け取っているのが、独立行政法人国立精神・神経医療研究センター理事長の樋口輝彦氏だ。同氏は内閣府自殺対策推進会議の座長も務める、いわば日本の自殺対策のトップであり、うつ病の早期発見と早期治療を一貫して訴えている。

同じく前出の「市民の人権擁護の会」が行なった情報公開請求によって判明したのは、樋口氏が2010年5月から2011年6月末までのわずか1年あまりの間に製薬会社などから講演の謝礼や原稿の監修などの名目で合計370万円超の金額を受け取っていた事実だ。ちなみに昨年の樋口氏の理事長としての報酬は約 1839万円にも達する。

確かに個々の謝礼は講演や監修そのものに対する謝礼として支払われている。しかし、責任ある立場であり、その発言や論文に影響力がある医師が、直接の利害関係がある製薬会社から多額の金銭を得ている事実は看過できない。李下に冠を正さず、である。

本誌の取材に樋口氏はこう答えた。

「当センターの役職員倫理規程に基づき承認されている医療関係者を主な対象にした学術的な内容の講演などであり、問題ないと考えています」

差し迫る問題を政治はどう考えるか。10月25日、衆議院の青少年問題に関する特別委員会で、小児への向精神薬の投与について問題視した、民主党の三宅雪子議員はこう言う。

「私自身は、政治家だった祖父から、直接の利害関係者とは距離を置くよう訓示を受けている。独立行政法人国立精神・神経医療研究センターの理事長であり、内閣府の自殺対策推進会議の座長という公の立場で、300万円を超える謝金を利害関係者である製薬会社から受け取るということは世間の常識とずれている。他の医師や学者の信頼性を損なう話で残念だ」

信頼性を回復するには医師と製薬会社の不適切な関係を断ち切ることが大前提となる。

ビーダーマン博士騒動などで揺れた米国では10年3月、すべての製薬会社と医療機器会社を対象に医師や病院に10ドル以上の支払いをした場合は、市民が閲覧できるデータベース上に公表することを課す「サンシャイン法」が成立し、2013年から施行される。日本でも同様の法律が求められる。

※SAPIO2011年12月7日号




ここで気付いたことがあります。彼の講演や研究内容が非常に多岐に渡るということです。特定の新薬の治験から、うつ病、双極性障害、統合失調症、慢性疾痛まで広くカバーしています。

製薬会社や精神科医のよくある言い訳は、専門的知識を持った精神科医が限られているので、特定の精神科医に集中してしまうのはやむをえない。先生も個人の利益ではなく、その専門的知識を啓蒙するという公益性を考慮して受諾いただいている、というものです。

では逆に質問したいのですが、樋口氏はこれだけ多岐に渡る分野で全て専門性を担保できているのでしょうか?はたして、これらの講演が樋口氏にしかできない専門的な内容なのでしょうか?

もちろん、部下の研究を上司が把握し、上司が発表するということはどこの世界でも普通にあるでしょう。しかし、この講演や監修、学会発表の分野の多様性と頻度を見ると、とても全ての研究内容を監督・把握しているとは思えません。

片手間程度、つまり専門性や責任など何もないという態度ではないとしたら、欧米で大流行していたゴーストライターでもいない限り、物理的に不可能な話だと思うのですがいかがでしょう?製薬会社の担当者が既に書き上げた論文やガイドライン、スクリプトに沿って話す・・・という感じでしょうか?ご存知の方、教えて下さい。

責任も伴わないで名前だけ貸しているとしたら、それこそ大問題です。本当にその精神科医が全身全霊を込めて研究し、その人物以外に専門的知識を持っている人がいないという分野の話であれば、国家公務員であろうがナショナルセンターの責任者であろうが、大学教授であろうが、製薬会社と共に講演や研修をしてもまだ筋が通ります。しかし、ここまでの頻度でやられたらその筋は通りませんよね。

実は、彼は非常に参考になる本を監訳しています。この本は、いかに日本で行われている多剤大量処方が薬理学の基礎に反しているのかをしっかりと証明してくれています。
http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=63006

でも、彼がその書籍の内容を本当に理解していたのであれば、製薬会社に媚を売ってせっせとアルバイト(接待?)に勤しむ暇はないはずです。多剤大量処方の危険性を薬理学的に把握した以上、新薬を売り込むことよりも、多剤大量処方の危険性を啓蒙することが公益性に適うからです。

精神科医が最初にするべきことは、「失敗」を認め、現在まで続いている負の歴史に目を向け、その誤った実践の被害者に謝罪・補償することです。例えば、うつ病治療一つをとっても、そのアプローチの誤りを早急に認めることです。新型うつ病とか双極性障害だとか言い訳し、さらにマーケティングを広げることなど言語道断です。

同様に、隔離収容・多剤大量処方・人権無視の現状を作り出した原因を見ることなく、アウトリーチや単剤処方に活路を見出すような悪あがきは止めましょう。

被害者ば莫大な人数です。単なる健康被害にとどまらず、様々な社会問題を引き起こしています。原発で事故を起こしながら、何らの謝罪も反省も補償もないまま、さらに原子力開発に予算を充てたら皆さん、普通黙っていられないですよね。正直、今起きているのはそのレベルの話です。精神疾患を5大疾病にし、議員連盟まで作ってそれをしようとしているのですよ。そろそろ目を覚ましましょう。