厚生労働省が30万件のレセプト分析の結果を発表しました。


睡眠薬、3種処方6% 厚労省「依存注意を」
日本経済新聞 2011/11/2 2:15

 

 2009年に病院などで睡眠薬を処方された人のうち、3種類以上の睡眠薬を処方された割合が6.1%だったことが1日、厚生労働省研究班の調査で分かった。抗不安薬で3種類以上処方されたケースは1.9%だった。同省は睡眠薬と抗不安薬について、3種類以上の処方は薬物依存の可能性などを十分考慮するよう医療機関や患者に注意を呼びかけている。

 調査は健康保険組合加入者とその家族の診療報酬データ約33万件から、05~09年の各4~6月に睡眠薬、抗不安薬などの向精神薬を処方された件数をそれぞれ抽出して分析した。

 睡眠薬を3種類以上処方されたのは09年が6.1%。05~08年は6.0~6.5%で推移し、ほぼ横ばいだった。3種類以上処方された抗不安薬の割合は09年が1.9%で、05年の2.4%から毎年減少傾向が続いた。

 睡眠薬に含まれる成分(フルニトラゼパム)が1日当たりの換算で目安(2ミリグラム)を超えていた割合は09年で13.6%。同様に換算した抗不安薬の成分(ジアゼパム)では、4.2%が目安(15ミリグラム)を上回った。

 このほか、09年に抗うつ薬で3種類以上処方されたのは8.9%、統合失調症患者に投与する抗精神病薬の3種類以上の処方は8.5%だった。



まあ、想像通り分析が甘いです。それにしても、厚生労働省は多剤処方や大量投与がそんなに多くないことを印象付けたいようですが、これにはトリックがありました。

なぜ抗不安薬と睡眠薬でカテゴリーをわけているのでしょうか?

実は、リリースの後半に、抗不安薬と睡眠薬の具体的な商品名がリストにされていますが、どちらのカテゴリーにも入っている薬が多くあります。厚生労働省の担当に確認したところ、夜に出されているのは睡眠薬、昼に出されているのは抗不安薬としてカウントしたということでした。

要するにカウントがばらけているため、過剰投与の実態が見えないようになっているのです。ジアゼパム換算で4.2%しか超えていない?そんなはずはありません。なぜならば、ジアゼパム換算は通常総投与量を計上するからです。


精神科医の中には、商品名が違えば別の薬だと認識しているのか、それぞれ最大量を投与する人がいます。見かけ上はそれぞれ上限値を守っているように見えます。そのトリックと一緒です。

そして、何よりも一番の問題は、これはあくまでも同系列上の比較にしか過ぎないということです。同じカテゴリーで2剤以下なら何でもOKという単純な話ではありません。それなら抗不安薬2種類、睡眠薬2種類、抗うつ薬2種類、抗精神病薬2種類、抗てんかん薬2種類、抗パーキンソン病薬2種類であればセーフですか?

本当に危険なのはその組み合わせです。それが今までまともに研究されたことがなかったことが問題です。しっかりと薬理学的視点から科学的に研究すれば、精神科医の多剤処方の危険性を科学的に立証できるはずです。データはもうそろっているはずです。それをしっかりと視点を持った人が分析するだけでもよいのです。

上記レセプトの分析調査にしても、もっと「視点」のある人が分析したら全然違う貴重なデータが抽出されるはずです!!



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