国立精神・神経センターは、平成22年4月から独立行政法人化され、国立精神・神経医療研究センターとなりました。

以前から不思議に感じていたのですが、国家公務員であり、しかも国立研究施設のトップという立場にある精神科医が、なぜ利害関係者である製薬企業から堂々と個人的な謝金を受け取れていたのでしょうか?

現在は独立行政法人化されたものの、ナショナルセンターとしての公共性を考えると、公益性、公平性、中立性及び透明性を確保することが求められています。その責任者であるセンター総長も、国家公務員という立場ではなくなったとはいえ、より一層利益相反問題には慎重になるべき立場にあります。

それで、情報公開してみました。

詳細は後ほどまとめますが、平成22年5月~23年6月に、樋口氏が製薬会社から受け取っていた金銭(主に講演に関する謝金)は以下の通りです。
・ファイザー:794,443円
・グラクソスミスクライン:500,000円
・ヤンセンファーマ:444,444円
・MSD:333,333円
・Meiji Seika ファルマ:322,222円
・イーライリリー:277,776円
・シェリングプラウ:222,222円
・大塚:166,666円
・ルンドベック:160,000円
・旭化成ファルマ:155,555円
・塩野義:111,111円
・中外:111,111円
・大日本住友:70,000円
・協和発酵キリン:40,000円

合計額は実に3,708,883円です。

独立行政法人化されるや、このペースです。しかし、不思議なことに、独法化以前にも製薬会社の主催/共催/協賛での講演は多かったのですが、それに関する情報はありませんでした。これは、申告漏れでしょうか?あるいはずっと無報酬のボランティアだったのでしょうか?

他にも腑に落ちないことがあります。以前、東京都に情報公開したことがありました。都立松沢病院院長の岡崎氏や、旧都立梅ケ丘病院院長の市川氏について調べたところ、製薬会社関係からの金銭授受の記録が一切ありませんでした。東京都の人事関係に確認したところ、職員の規程により、利害関係者である製薬会社から金銭を受け取ることができないということでした。

そこで、さらに具体的に確認してみました。とある九州で開催されていた学会でのランチョンセミナー(製薬会社共催)に、岡崎氏が座長として参加していたので、そこで謝金や交通費、宿泊費などは発生していないのか尋ねました。すると、東京都の回答では、全て自己負担だということでした。

一方、同じ学会で講演していた樋口氏には、しっかりと謝金が支払われていました。恐らく、交通費や宿泊費も出ていることでしょう。実際、別の精神科医に対する情報公開で得た資料では、交通費や宿泊費はほとんど製薬会社持ちでした。

同じような公的立場にある精神科医が、かたや交通費や宿泊費10万円弱を自腹で払い、地方の学会まで足を運び、無報酬で講演をする一方、全て製薬会社持ちでやってきては個人的な謝金までGetする精神科医もいるということです。不思議ですよね?

これは東京都都が厳しすぎるのでしょうか?それとも、利益相反という主題に、センターが甘過ぎるのでしょうか?

問題は、製薬会社から表金だけでもほぼ一年で400万弱の金銭を受け取っている樋口氏が、精神保健に関する重要な政策にことごとく関わっているということです。

自殺を減少させるという国民全体の利益に反して、効果の検証もされることなく、製薬会社や精神医療関係者の利益につながるような睡眠キャンペーンが展開されています。

もしも、たとえ製薬会社と精神科医に金銭的つながりがあったとしても、結果として自殺者が減り、精神的問題で悩む国民が減り、国民全体のメンタルヘルスが向上しているのであれば、私は多少のことには目をつぶります。良い仕事をしている人に、それに見合った報酬を出すこと自体には問題ありません。しかし、薬物治療に偏重した精神医療から国民は恩恵を受けているのですか?利益があったのは、特定産業と特定の精神科医だけじゃないですか?

ちょうど面白そうな本が出たようです。
http://www.nippyo.co.jp/book/5699.html

まだ読んでいませんが、非常に興味深い内容です。鋭い批判が期待できそうな人から、言い訳キャンペーンを展開しそうな怪しげな人まで入り混じっていますが、全体としてどんな具合にまとまったのでしょうか?読んでみる価値はあるかと思います。

いずれにせよ、特定業者から個人的利益を得ている特定の精神科医により、国民の利益に反する形で政策が誘導されているという現状を何とかしないといけません。

情報公開で色々と面白いことがわかりました。この問題を追及したいマスコミ関係者の皆様、また内部事情について詳しくご存知の方、是非ご連絡下さい。