「Horse Riding」

(みらいいろ:記憶回路)


(四)

「じゃ、本番宜しくお願いします。」

最終的なリハを終えると、僕はメンバーに向かってそう言った。

文化祭の有志に、僕とフジとカイトを含めた軽音部のメンバーで出る事になった。

メンバーを探していたカイトからの誘いだった。

ちょうど、ボーカルともう一人ギターを探していたらしい。

本番前、ステージ袖で円陣を組む。

不意に、頭の中に映像が浮かんだ。

銃を持って家を飛び出した青年を、遠くから見送った少女。

軍服を着て仲間と共に整列した青年に、彼女は気付く事は無かった。

大人になった少女は、青空が広がる草原に、花束を持って立ち尽くしていた。

同じ空の下で、青年は戦場を駆け抜けた。

青年がその後どうなったのかは分からない。

だけど、その誇り高く勇敢な姿は、色褪せる事なく、瞼に焼き付いていた。

みんなが定位置に着く。

僕はマイクを持つと、深呼吸をした。

(僕は今夜、さまよう全ての人に、指で十字を切るのだ。)

ラストで青年が呟いた言葉が、不意に頭を駆け抜けた。



まだ僕が若い頃  よく馬に乗っていた
その話をしておけばよかったね
きっと君は気に入ったと思うんだ

このあたりで育っていろんなことを見て来たよ
君を見かけるのが好きだった
いつもの連中と   ときおり新しいやつらと

電話がなって銃を手に取り
永遠は終わってしまった
もう君は  この血のように赤いユニフォームの僕らに気づかない
この騒乱が終わったら何をしたいかな
きっと君の暖かくてくせになりそうな抱擁の中で泣きたい
隊長は三日目の朝までに制圧すると言った

君はずっと僕らの中の空より明るくて
すり切れた写真でさえね
その唇に触れるためならなんでもするよ
僕はさまよう全ての人に  指で十字を切る

親が怒鳴り合っているときは  風のなかに乗り出した
誇り高く  勇敢で  孤独だった

僕には馬がいたんだ
ターコイズブルーの瞳の
聴こえない歌を口ずさむ
革命にはサウンドトラックが必要だろ

君はずっと僕らの中の空より明るくて
すり切れた写真でさえね
その唇に触れるためならなんでもするよ
僕は今夜さまよう全ての人に  指で十字を切るんだ


Horse Riding[訳]/the HIATUS



end