「Horse Riding」

(みらいいろ:記憶回路)


(三)

三日目の朝までに制圧する、そう隊長は告げた。

燃える村の中、青年は銃を構えて壁に隠れた。

目を閉じて、深呼吸をする。

(この場所さ、昔みんなで遊んだ所だよな。)

一緒に居る仲間が、青年に話しかけた。

(あぁ、そうだな。)

思い出したように、青年は答えた。

(酷いもんだな。みんな燃えちまった。)

青年は無言で、黒煙を上げて村を燃やす炎を眺めた。

(なぁ、この騒乱が終わって、無事に帰れたらさ、何したい?)

不意に仲間が問いかけた。

(そうだな。)

仲間の言葉に、青年は写真の少女を見た。

(きっと、君のあの、温かくて癖になりそうな抱擁の中で泣くんだ。)

過去の日々を回想しながら、青年は心の中で呟いた。

銃声が響いた。

爆撃が起こって、建物を破壊する。

(君はずっと、僕らの中の空よりも眩しいんだ。このすり切れた写真の中でさえもね。)

青年は、少女の写真を軍服の中に仕舞った。

(君のその唇に触れる為なら、僕は何だってするよ。)

炎と爆風の中を、青年は銃を持って駆け抜けた。

不意に、昔よく口ずんでいた歌を歌った。

それは爆音にかき消されていった。

(革命には、サウンドトラックが必要さ。)

青年の側に、一頭の馬が駆け寄り、跪いた。

青年は馬の頭を撫でると、胸元で十字を切り、馬に跨った。

戦火の中を、青年は馬と共に走った。

その孤独な姿は、何よりも誇り高くて勇敢だった。

黒煙に覆われた空を仰ぎ、青年はただ祈った。

青年と馬が走り去っていく。

物語はそこで終わった。