「リュウ、ごめんね。」

「良いって。」

笑いながらリュウが言った。

久々に不眠症になり、少しだけ不安定になった僕を心配して、リュウが世話をしにきてくれた。

夏風邪なのか、不安定なせいなのか、ここ数日、熱も下がらない。

「何か食べた方が良いよ。」

「食欲無い。」

「水分だけでも取りなね。」

そう良いながら、リュウがベッドの横にペットボトルを置いた。

リュウの言葉に、僕は素直に頷いた。

そういや、リュウはさっきから台所に居るけど。

「ねぇリュウ、さっきから何してるの?」

「え? 台所に居るんだからさ、やる事はひとつでしょ。お粥作ってるの。」

「リュウって、料理出来たっけ?」

「失礼な。あっためるくらい出来るよ。」

ん? あっためるくらい?

「フジがさ、わざわざ作ってくれたのに。」

その一言に、僕は思わず笑った。

それ、リュウが作ったって言わないと思うよ。

笑っていると、リュウが鍋を持ってきた。

テーブルの上に鍋敷きを置き、その上に鍋を下ろす。

僕は起き上がった。

リュウにお礼を言おうと、顔を向ける。

ん?

リュウがやたらと笑顔になってる。

そう思ってると、いきなりリュウはスプーンを僕の目の前に突き出した。

「はい、あーんして。」

一瞬遅れて、状況を理解した。

「ちょ…!! 自分で食べられるって!!」

僕は慌ててリュウの手を押し退けた。

「えー」なんて言ってるし。

リュウは本気なのかふざけてるのか、時々分からなくなる。

世話好きなのは知ってるけど。

お粥を皿に取り分けると、僕は無言で食べ始めた。

大した量じゃないのに、すぐお腹いっぱいになった。

食べ終わって、また寝ようと思った途端、

「ちょっと…!! リュウ!!」

いきなりリュウが僕に抱きついてきた。

僕は驚いて固まる。

リュウは僕だけじゃなく、みんなにもよく抱きつく。

本人にとって、大した意味は無いんだろうけど。

僕は未だに慣れず、慌ててしまう。

「お願いだからさ、一人で抱えないでね。」

「え?」

突然リュウが真面目な声で言う。

「僕らは仲間なんだからさ、困ったらみんなに言ってね。仲間がいろんな事に押し潰されるのは、見たくないから。」

戸惑った僕は、「うん」と素直に頷いた。

リュウは僕から離れ、笑う。

「片付けとくからさ、ちゃんと寝てなね。」

そう言うと、リュウは台所へ消えた。

未だにリュウの事はよく分からない。

ただ、僕の事を気遣ってくれてる事は、嬉しかった。

僕は小さく笑うと、目を閉じた。


(今度はさ、僕もお粥作ってあげるよ。)
(……それはいいや。)


***


過去に書いた、みらいいろ番外編、そのいち。

何だこれ。笑

カナデくんを抱き枕にするリュウ。笑