屋上のドアを開ければ、まだ寒さの残る青空が広がった。

フェンスに寄りかかり、空を見上げる。

広がる青は、少しずつ色が変わり始めている。

屋上を風が吹き抜ける。

微かに、春の気配が香った。

「やっぱりここか。」

不意に声が聞こえた。

声の方を向けば、フジが笑いながら立っていた。

隣にはカイトが居る。

「今日じゃないと、もう来れないしね。」

そう言って、僕はまた空を見上げた。

「今日で最後だもんな。」

そう言いながら、フジが僕の右隣に来た。

今日は、僕らの卒業式だった。

三年間通ったこの高校とも、今日でお別れだった。

「何か、あっと言う間だったよな。」

感慨深げにフジが言った。

「俺にとっちゃ、結構濃い高校生活だったぜ。」

僕の左隣に移動しながら、カイトが言った。

「たぶんさ、お前らに会わなかったら、つまらない高校生活送ってたと思うんだよな。」

そう言って、カイトは笑った。

「何かさ、お前らに会えて良かったよ。」

「お前がそういう事言うの、何か気持ち悪ぃな。」

カイトの言葉に、フジが苦笑い混じりに返した。

「俺、今結構良い事言ったぞ。」

すかさずカイトが反論する。

そんな二人のやり取りに、僕は小さく笑った。

「まぁ、そんな思い出深い校舎とも、今日でお別れな訳ですよ。という事で、記念でも残しますか。」

そう言って、カイトが制服のポケットからデジカメを取り出した。

「出た、ありがち展開。」

「うるせぇよ。」

笑いながら言うフジに、カイトも笑いながら返す。

写真はセルフタイマーで撮った。

僕を中心に、右にフジ、左にカイトが並ぶ。

「お前小っちぇな。」

撮り終わった写真を見ながら、フジが笑って僕に言う。

「今更でしょ、それ。」

苦笑いを零しながら、僕は返す。

写真の中央に立った茶髪の僕は、フジとカイトに比べて身長が低い。

二人とも身長は高い方だけど、僕は男にしては小柄な方だった。

「体、大事にしろよ。」

不意にフジが真面目な声で言う。

僕は驚いてフジを見た。

普段はそんな素振りを見せないけど、ふとした時に、フジは僕の事を気遣ってくれる。

僕が体調を崩しやすいせいもあるのだろう。

申し訳なさ半分、嬉しさ半分だった。

「さて、じゃあこの後はどうする?」

少し重くなった空気を破るように、カイトが声を上げる。

「スタジオ行くよ。みんなも来るはず。」

先程の空気が一転して、フジが笑顔で答えた。

「じゃあ、俺もヨウと一緒に行くよ。」

フジの返事に、カイトが返す。

「じゃ、早速行くとするか。」

そう言って、僕らは屋上を後にした。

僕はもう一度空を見上げた。

色が変わりつつある青空。

何一つ変わっていないようで、確かに変わっている。

何一つ変わらないように見えた僕らも、確かに進んでいる。

これからの事は、まだ分からない。

ただ、この先もみんなと一緒に、音楽を続けられたらなって思ってる。

誇れるものも無いし、目標だってない。

それでも別に良いやって思った。

きっと、理由なんて後からついて来る。

道を引き返すのは、間違いじゃない。

僕は変わらずに変わって行くんだ。

二人を追いかける。

風が吹き抜けた。

まだ冷たさの残る風に、確かに春の気配を感じた。


***


talk by
Kanade from みらいいろ


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卒業ネタを書きたかった。

レミオロメンの3月9日を聴きながら、書きたいと思ってた話。

この三人の高校生活をもっと書きたいんだよなぁ。

茶髪のカナデくんをもっと書きたい。笑