「エとセとラ」

(みらいいろ・回想録)


(六)

スタジオから帰る途中、空を見上げた。

満天の星と、月明かり。

寒くなった空気に、星が震えてるように見えた。

何だかカナデみたいだなって、月を見ながら思った。

いつも近くに居てくれるけど、僕には手の届かないところに居る。

僕にとっての月は、カナデなのかも。

迷ったら、道を照らしてくれる。

変わらずに、そこに居てくれる。

僕は月を見た。

カナデも見てるのかな?

同じ月を、僕らは見てる。

何度も世界を揺さぶって確かめるんだ。

君が光だって。

僕らの光だって。

変わらずに、そこに居てね。

寒くなった夜空の下を、僕はアパートに向かった。


end