「エとセとラ」

(みらいいろ・回想録)


(四)

「帰ろう、冷えるよ。」

しばらくして、僕はカナデに言った。

カナデは素直に頷いた。

「乗ってきなよ。」

僕は自転車の荷台を指した。

今日は、何となく自転車の気分だった。

カナデは最初は遠慮したけど、最終的には、荷台に跨った。

カナデの手が、僕の肩を掴む。

本当に細いな。

僕は自転車を漕ぎ出した。

何だか、カナデと居ると落ち着くんだ。

カナデは、同性異性関係なく、人を惹き付ける。

救われるみたいっていうのかな。

本当にそんな感じ。

カナデとの関係は、傷の舐め合いみたいなところもある。

僕らは、世界や自分が嫌になって、どうしようもなくなった。

だから僕は、カナデの事が放っておけなかった。

カナデとはそうやって、これからも二人乗りしていくんだろうな。

病弱で傷だらけなカナデを荷台に乗せて、僕は自転車を漕いでいく。

変な関係だなって笑いながらも、これが僕らにはちょうど良いのかも。