(二)


「本当さ、お前らって凄ぇよな。」

隣で焼酎を飲みながら、カイトが笑う。

昨日から、カイトは東京に来ていた。

僕らのアパートを回りながら、数日はこっちに居るそうだ。

凄ぇと連発するカイトに、僕は苦笑いを零す。

ふと、窓の外に目を向けた。

白い雪が、ちらちらと舞っている。

積もる程ではないけど、未だに止む気配は無い。

「東京も降ってんだな。」

カイトも外に目を向ける。

「地元も降ってるの?」

「降ってるよ。うっすら積もってたぜ。」

僕の問いかけに、カイトは答えた。

「珍しいね、年明け前に降るなんて。」

「そうだな。」

そう言って、カイトは外を眺めた。

その横顔は、どこか寂しそうな、悲しそうな、そんな風に見えた。

何だか、言いようのない喪失感を抱えているような気がした。

そんな事を少し不思議に思っていると、カイトが口を開いた。

「年明け前の雪見るとさ、思い出すんだよな、ヨウが死んだ日。」

その一言に、僕は固まってしまった。

ヨウが死んだ時、僕はバンドを離れていた。

事故死したのを知ったのは、事故から数ヶ月も経った時だった。

精神的に不安定だった僕を気遣ってか、メンバーはヨウの事を話さなかった。

だけど、僕はずっとこの事を後悔していた。

ヨウは人知れず、自分の才能に悩んでいた。

あの時、僕が何か行動を起こしていたら、変わっていた事があったかもしれない。

自分の事でいっぱいいっぱいだった事が、情けなくて仕方なかった。

「あんま抱え込むなよ。」

不意にカイトが口を開いた。

「誰のせいでもねぇんだ。過ぎた事を気にしたって仕様がない。生きてくしかねぇからさ。」

そう言うと、カイトは再び外に目を向けた。

ヨウが死んだ日は、珍しく年明け前に雪が降り続き、一面銀世界だったそうだ。

最後にヨウが見た景色は、どんな感じだったんだろう。

そんな事を思いながら、僕も外に目を向けた。