「ドリーマーズ・ハイ」

(みらいいろ:記憶回路)


(十八)

駅前を歩く。

行き交う人々は、相変わらず足早に通り過ぎていく。

みんな、自分の行くべき場所を知っているんだろう。

俺は、隅っこのベンチに腰掛けた。

俺とヨウが出会った場所。

そして、俺とヨウが最後に過ごした場所。

みんなが旅立って行った場所。

帰ってくる場所。

正直、未だに自分が何をしたいのかなんて分からない。

選んだ道が正しかったのか、間違ってたのかなんて分からない。

誇れるものも、何一つ無かった。

それで、良いのかなと思った。

進んでは立ち止まって、迷っては間違って。

遠回りして、俺は今日に立ち尽くした。

誰も信用出来なかった俺が、ヨウに出会って、初めて誰かを信じる事が出来た。

ヨウに出会って、最高の仲間が出来た。

今でも、ヨウの最後の笑顔を覚えてる。

きっと、この先も忘れないだろう。

「最高だよ。最高に楽しいよ。」

空を見上げて、俺は呟いた。

不安になった時は、こうやって空を見上げて、ヨウとの約束を思い出した。

少し高くなった青空。

季節は巡っていく。

日々は流れていく。

「ちゃんと歩くよ。」

住み慣れたこの町で、この先ずっと、俺は生きていくんだろう。

変わらないこの町で、迷っては悩み、間違っては傷付きながら、歩いていくんだろう。

俺は笑うと、立ち上がり、歩き出した。

行き交う人波に埋もれながら、自分の速度で歩いていく。

高くなりだした空に、微かに夏の気配がした。


end