「ドリーマーズ・ハイ」

(みらいいろ:記憶回路)


(十七)

翌日、公園のベンチに座って空を眺めていると、不意に隣に気配を感じた。

顔を向けると、カナデが居た。

よくここに来るのかと言う質問に、俺は頷く。

カナデはヨウの事を話し出した。

上京前、どうしようもなくなって、ヨウに全部をぶちまけた事。

そんなカナデの事を、ヨウは受け入れた事。

プロを目指せと、カナデに言った事。

ずっと、カナデの事を羨んでいた事。

もしかしたら、ヨウはずっと、一人で悩んでいたのかもしれない。

カナデはそう言った。

天才だと言われて、周りからは期待されて。

そう言った事に、ヨウはずっと苦しめられていたのかもしれなかった。

頑張れよとカナデに言ったヨウは、どこか寂しげに笑っていたそうだ。

もっと早く言うべきだったと言って、カナデは謝罪の言葉を口にした。

「お前のせいじゃないよ。」

カナデを見ながら、俺は言った。

「話してくれてありがとな。」

そう言うと、俺はカナデに笑いかけた。

大型連休の最終日、カナデは東京に戻った。

一緒に帰省していたみんなも、戻ると言った。

俺は駅に見送りに行った。

カナデは笑っていた。

カナデの笑顔は綺麗で、俺には眩しすぎた。

その笑顔が、俺は羨ましかったし、好きだった。

「下ばっか見んなよ。」

笑いながら、俺はカナデに言った。