「ドリーマーズ・ハイ」

(みらいいろ:記憶回路)


(十三)

駅前へと歩いた。

行き交う人々は、足早に過ぎていく。

その波に取り残された俺は、ぼんやりと立ち尽くしていた。

駅に入る人と、家に帰る人。

その中で、何となく片隅に目をやった。

ヨウがいつも歌っていた場所。

何だか、まだそこにヨウが居そうな気がした。

薄暗い駅の片隅は、行き交う人波の中に埋もれて、忘れ去られたようだった。

ヨウは居ない。

ここにはもう、ヨウは居ない。

そう思った瞬間、一気に喪失感が襲ってきた。

ふと気付けば、俺は公園の前に居た。

日が暮れた年の瀬の公園には、誰も居なかった。

みんなとよく遊んだ公園。

ヨウも一緒だった。

いつも一緒だった。

最後に見た、ヨウの笑顔が浮かんだ。

もうヨウは居ない。

どこにも居ない。

不意に、頬を涙が伝った。

泣いていると気付いた途端に、涙は次々溢れて止まらなかった。

「馬鹿じゃねぇの、お前。」

言葉が口をついて出てきた。

「本当、馬鹿だろ。約束はどうすんだよ。」

ヨウが居なきゃ、意味が無い。

「どうすりゃ良いんだよ。これから。」

進めねぇよ。

俺が零した言葉は、誰にも届く事無く、冷えた空気に溶けて消えた。