「ドリーマーズ・ハイ」

(みらいいろ:記憶回路)


(九)

それから、二年とちょっと経った。

就職に失敗した俺は、バイトをしながらの生活をしていた。

ヨウは本格的に音楽の道に入った。

ヨウに会う度、全く進めていない自分が情けなくなった。

自分が何をしたいのかさえも、正直分からなくなっていた。

たまに来る、みんなからのメールなんかでも、俺だけ取り残されてる感じがして、何だか寂しかった。

「羨ましいよ、本当。」

いつものように、駅前のベンチに座り、ヨウと喋る。

「みんなさ、自分のやりたい事っていうか、やるべき事が分かってて。」

隣でヨウは、俺の話を黙って聞いていた。

「俺、本当どうしたら良いか、分かんねぇよ。」

溜息を吐くと、そのまま俺は俯いた。

「そういう時の方が多いんじゃねぇか?」

不意に、ヨウが呟くように言った。

「上手くいく事の方が珍しいだろ?回り道とか、遠回りとか、そういう事しねぇと見つからないものもあるしな。」

ヨウが空を見上げる。

秋の空に、一番星が輝き出していた。

「それにさ、一本道じゃ、絶対つまんねぇよ。」

ヨウを見れば、その横顔は笑っていた。