「ドリーマーズ・ハイ」

(みらいいろ:記憶回路)


(八)

それから半年ちょっと経った、六月のある日。

俺は公園のベンチに腰掛けていた。

隣には、カナデが座っている。

顎で切り揃えていた髪は、肩まで届くくらいまで伸びている。

まだ青白い顔をしている。

もう暑いくらいにはなってきているのに、カナデは長袖のパーカーを羽織ったままだった。

「上京する事にしたよ。」

数日前に、カナデから届いたメール。

一度、カナデと話をしたくなった。

「七月の下旬に、東京に行く。」

カナデは呟くように、だけど、しっかりと言った。

「みんなも一緒にね。」

「そっか。頑張れよ。」

笑ったカナデは、まだ頼りなげだったけど、俺は不思議と安心出来た。

夏になり、みんなはこの町から旅立って行った。

俺はヨウと一緒に見送りに行った。

「寂しくなるな。あいつら居ねぇと。」

駅前のベンチに座って、俺はヨウとしばらく喋った。

「本当だな。特にリュウが居ねぇとな。」

そう言って、俺らは笑い合った。