「ドリーマーズ・ハイ」

(みらいいろ:記憶回路)


(四)

その日から、俺は二人と昼休みや放課後を一緒に過ごすようになった。

「これ、この間言ってたCDだよ。」

フジと名乗ったそいつが、CDを差し出してきた。

「有難う。帰ったら早速聴くわ。」

笑いながら、フジに礼を言う。

フジは少し癖っ毛の黒髪を、長めに伸ばしていた。

前髪は目を覆う程長いが、フジに分ける気は無いらしい。

一見すれば、暗い奴にも見えそうだけど、不思議と初対面からそんな感じはしなかった。

何となく、周りとは違う独特の空気を纏っていた。

不思議な奴、一言で言えばそんな奴だった。

人見知りはそんなにしないのか、最初から気軽に話してきた。

対して、フジと一緒に居るもう一人は、人見知りをする奴なのか、未だに俺を警戒して、なかなか会話に加わろうとしない。

俺はそいつに視線を向けた。

真っ黒な髪が特徴的な奴だった。

夜の闇という言葉がぴったりな程だ。

その綺麗な黒髪を、襟足とサイドを、顎辺りで切り揃えていた。

少し長めの前髪を、センターで分けている。

その前髪の下から、色白で整った顔が覗く。

細身なのも相まって、何となく繊細な印象を持った。

男らしくない、だけど、女っぽいかと言われれば、そうではなかった。

中性的な感じというのだろうか。

一言で言い表すのが難しい奴だった。

フジとは違った意味で、不思議な奴だ。

カナデ、という名前だった。

その、男とも女とも取れない名前のせいもあったのかもしれない。

でも、直感的に思った。

こいつにはぴったりな名前だって。

カナデはボーカルとギターを担当し、フジはギターを担当していた。

メンバーは、他に三人居て、全員別々の学校だそうだ。

しばらくして、フジに他のメンバーを紹介してもらった。

ベース担当で、バンドのリーダーでもあるリュウは、バンドのムードメーカーなのもあって、明るくて賑やかだった。

ドラム担当のヒロは、カナデと同じように人見知りする奴だったけど、打ち解ければ人懐っこい。

正式なメンバーはこの二人で、残りの一人はサポートだった。

みんなは、ほとんどメンバーとして扱ってるらしい。

そんな、キーボード担当のタケは、意志の強そうな見た目通り、白黒はっきりした性格だった。

男でも惚れそうな程、格好良い奴だと思った。

俺はみんなと一緒に、スタジオに入り浸った。

一緒に居る内に、凄い奴らだなって思い始めた。

特にカナデには、何か光るものを感じた。

そうだ、ヨウにこいつらを見せてやろう。

そう思い、俺はみんなにヨウを紹介した。

同じ音楽好きなんかで、ヨウもみんなとすぐに仲良くなった。

「本当さ、凄ぇ奴らだよな。」

ある日の放課後、俺はヨウと一緒に駅前のベンチに腰掛けて喋っていた。

「カイトが惚れるのも、分かる気がするわ。」

そう言って笑いながら、ヨウはギターを取り出して、歌う準備を始めた。