「ドリーマーズ・ハイ」

(みらいいろ:記憶回路)


(三)

卒業式が終わり、春になり、新しい生活が始まった。

相変わらず、俺は周りを信用していなかった。

せっかく高校生になったんだから、これを機に変わってみようとは思った。

だけど、それ以上に周りと関わるのが面倒だった。

入学当時から茶髪だった俺は、すぐに不良のレッテルを貼られた。

そのお陰で、周りは俺と関わろうとしなかった。

それは幸いだった。

毎日退屈だったけど、面倒な人間関係よりよっぽどましだった。

そんなある日、ある噂を耳にした。

「バントやってる奴が居るらしいぜ。」

誰が言い出したのか、そんな話を聞いた。

別に、バントをやってる事自体は不思議じゃなかった。

高校生なら、バントの一つや二つ、やってる奴は居るだろう。

だけど、何となく気になった。

その内、そいつに会ってみたいとも思った。

「その話、本当なのか?」

俺はクラスの奴らに話しかけた。

俺に話しかけられた事に戸惑いながらも、何人かは答えてくれた。

それから何人かに当たり、具体的な話を聞いていった。

どうやら、二人組の男らしい。

そいつらの容姿や特徴なんかを、とにかく手当たり次第に聞いていった。

自分の行動が、信じられなかった。

らしくない、そう思っては苦笑いを零した。

ある日の昼休み、俺は屋上へと向かった。

どうやらそいつらは、よく屋上に居るとの事だった。

ドアの前で一度立ち止まる。

ドアノブに手をかけて開く。

目の前に青空が広がった。

ふと視線を下げると、二人の男が目に入った。

驚いた顔で俺を見ている。

俺はそいつらに近付いた。

「なぁ。」

俺は二人の側に腰を下ろした。

「バンドやってんだって?」

笑いながら、俺はそう言った。