「monophobia」

(みらいいろ:記憶回路)


(九)

「お前って、結構繊細だもんな。」

フジが呟くように言った。

「だから、そうやって周りに頼る事を、甘えだと思ってんだろ。そういう自分が嫌なんだろ。」

フジの言葉に、居心地の悪さを感じた。

今すぐにでも、ここから逃げ出したかった。

「だけどさ、そんなん当たり前の事だろ?一人で歩いてくなんて、絶対無理な話なんだよ。必要だったら、周りに助けを求めろよ。」

「ちょっと黙れよ。」

思わず低い声が出た。

普段の僕は、あんまり言葉を荒げる事はない。

そうだ、フジの言う通りだ。

フジは僕の事を理解して、認めてくれる。

その嬉しさの反面、フジにそんな事を言われた事が、どうしようもなく悔しかった。

フジだからこそ、そう言われた自分が許せなかった。

感情に振り回されるのは嫌なのに、僕の意志に反して揺れ動く。

「助けを呼べよ。何の為に俺らが居るんだよ。」

僅かに声を張り上げてフジが言った。

いたたまれなくなった僕は、フジを置いて公園を出た。

これ以上一緒に居たら、フジに全てを見透かされそうな気がした。

フジは察しが良い。

もしかしたら、僕の事なんてお見通しなのかもしれない。

心の何処かで、フジなら僕を助けてくれるんじゃないかと期待していた。

そんな事を思った事が、たまらなく恥ずかしかった。

フジは無駄な干渉はしない。

時には、敢えて素っ気ない態度を取る事もある。

それがフジの優しさだった。

フジは優しい奴だ。

だからこそ、その優しさが、今の僕には痛かった。

僕は自分の事を、心底恥じた。