「monophobia」

(みらいいろ:記憶回路)


(三)

校庭の隅っこに座って、僕は携帯をいじっていた。

この場所は、校舎や校庭からは死角になっている。

生い茂った草や木なんかが、強くなってきた日差しを遮ってくれてる。

どこかのクラスが、午後の体育をやっているのか、時々号令が聞こえてくる。

その声を遠くに、僕は体育座りしながら、食い入るように携帯の画面を眺めた。

見ているのは、俗に言う自殺掲示板。

いつからか、僕の日課になっていた。

誰かに見られれば、途端に軽蔑の眼差しを向けられるだろう。

別にどうでも良いけど。

掲示板には、多種多様な人達が、自分の身の上話や自殺の動機なんかを、それはもう有象無象に書き連ねていた。

世の中には、行き場を無くした人なんかが、こんなにも居るもんだ。

共感出来る話も多い。

僕にとっては、退屈な授業を受けてるより、よっぽど有意義な時間だった。

平日の午後は、電車も空いてる。

学校に居るのが息苦しくなり、僕は早退した。

ドアの近くに立ち、顔を伏せる。

不意に、後ろで笑い声が上がった。

思わず振り返る。

大学生くらいだと思える女子が数人、笑い合っていた。

心なしか、時たまその視線が、僕に向けられてるような気がした。

慌てて顔を戻す。

僕を笑ってるのか?

いや、違う。

ほら、ただ昨日見たドラマの話をしてるだけじゃないか。

ただの被害妄想だ。

その後も、何人かが訝しげに僕を見てる気がしたけど、気のせいだと自分に言い聞かせた。