「monophobia」

(みらいいろ:記憶回路)


(二)

いつも考えるよ。

何で、こうなったんだろう。

中学の時は、こんなんじゃなかった。

僕にも、年相応の明るさや無鉄砲さがあった。

授業を抜け出して、カナデと屋上や校庭の隅っこに行って、くだらない話で笑い合った。

フジと屋上で、好きな音楽の話で盛り上がった。

校庭の隅っこで、ヒロからお勧めの音楽を教えてもらった。

放課後の教室で、タケに勉強を教えてもらった。

毎日毎日、馬鹿みたいに笑ってた。

今となっちゃ、遠い昔の出来事みたいだ。

僕は自室のベッドに座ると、右手にカッターを握った。

少しずつ増える、左手首の切り傷。

刃物が食い込む瞬間の痛みだけが、自分の輪郭を確かめられる唯一の瞬間だった。

その時だけは、僕が僕で居られる。

だけど、すぐに襲ってくる罪悪感。

馬鹿げてるとは分かっていても、こうするしか、自分を保つ事が出来なかった。