「キャッチボール」

(みらいいろ・回想録)


(七)

夕暮れの中を、俺はカナデとキャッチボールをする。

少しずつコツを掴んできたのか、だんだん上手くなる。

少しずつ、俺らの距離は離れていく。

カナデの声が遠ざかり、近くなる。

「そろそろ帰るか。」

「もうちょっとやろうよ。」

俺の声に、カナデは笑いながら返す。

また熱出しても知らぇぞと、俺は苦笑い混じりに返した。

キャッチボールは続く。

いつまでも続いてく。

何度も、カナデのボールを追いかける。

今まで見落としてきたものとか、必死で追いかける。

離れる距離、近付く声。

カナデは笑う。

俺らのキャッチボールは、ずっと続いてく。

ボールを拾うと、俺は笑い、カナデに投げ返した。


end