「キャッチボール」

(みらいいろ・回想録)


(六)

お粥の入った鍋を持って行き、近くのテーブルの上に、鍋敷きを敷いて置く。

カナデが体を起こす。

熱のせいか、頬が赤い。

「食えそうか?」

俺の問いに、カナデは小さく頷いた。

食欲はまだ無いのか、少しだけしか食べなかった。

片付けは、リュウがやってくれた。

「悪かったな。」

カナデの顔を覗き込みながら、俺は謝った。

「平気だよ。楽しかったし。」

そう言って、カナデは笑った。

「またキャッチボールやろうよ。」

楽しそうにカナデは笑う。

こいつ、人の気も知らないで。

そう思いながら、俺は苦笑いを浮かべた。

不安とか心配事とか、カナデは取り除いてくれる。

本人は気付いてないけど、カナデは周りを笑顔にしてくれる。

傷付いてきたからこそ、そういう事が出来るんだろうな。

前向きでもないし、不器用な奴だけど、カナデを見てると、何だか未来とかそういったものに、期待しても良いかなとか思ってしまう。

俺は、カナデの歌が好きだ。

あいつの為に、俺はギターを弾く。