「キャッチボール」

(みらいいろ・回想録)


(五)

「そろそろ帰ろうぜ。」

俺はカナデに言った。

気付けば、あたりはすっかり暗くなっていた。

カナデは少し不満そうな顔をしたが、素直に頷いた。

俺は、闇の中にボールを投げた。

ボールは弧を描いて飛んでいき、暗がりの中に消えた。

俺らは帰路に着いた。

歩きながら、隣のカナデをちらりと見た。

まだ少し、息が上がっている。

終わった後に、少し無理をさせ過ぎたかもしれないと思った。

何事も無ければいいけどな。

翌日はスタジオだったけど、案の定、カナデは休みだった。

俺は帰りに、カナデのアパートに寄った。

リュウも一緒だった。

カナデは、ベッドの上でぐったりとしていた。

38度越えの熱があるらしい。

お粥でも作ってやろう。

そう思って、俺は台所に向かった。

振り返れば、リュウが心配そうに、カナデの顔を覗き込んでる。

今更ながらに、悪い事をしたなと、俺は内心後悔した。