「キャッチボール」

(みらいいろ:回想録)


(一)

雨が上がった夕方近く、俺はカナデと散歩に出かけた。

バイトもスタジオも無い今日、俺は何となくカナデの家に行った。

着いてしばらく経ち、夕立が起こった。

窓から見える、雨に濡れた街。

夕立は一時的で、すぐに日が差してきた。

「散歩しようよ。」

そう言い出したのはカナデだった。

カナデは割と、出歩くのが好きな奴だった。

風に揺れる並木道を歩く。

木と一緒に、カナデの切り揃えた髪も揺れていた。

「夕立の後って好きなんだよね。」

不意にカナデが言った。

「空気が澄んでて、キラキラしてて。」

ちらりとカナデを見ると、その横顔は笑っていた。

カナデは、感じ取った事に素直な奴だった。

まぁ、だからあんなに人を惹き付けるんだろうけど。

好きなものは好き、綺麗なものは綺麗と、素直に言った。

少しだけ、カナデのその素直さと純粋さが羨ましかった。

「夕日が綺麗。」

前を見ながら、カナデは呟いた。

目の前には、沈みかけの太陽が、辺りを赤く染めていた。

「綺麗だな。」

そう俺は呟いていた。