「ワンルーム叙事詩」

‥最初に‥


***

(三)

カナデは人見知りが激しく、人付き合いも下手な方だった。

そのため、積極的な奴ではないけど、特別暗いというわけでもなかった。

始めこそ遠慮がちではあっけど、好きな音楽なんかが合い、すぐに打ち解けた。

仲良くなれば、カナデは人懐っこい奴だった。

「なぁ、その腕どうしたんだ?」

僕は、アームウォーマーに覆われたカナデの左腕の事が、ずっと気になっていた。

一瞬、カナデは強ばった表情になった。

カナデは無言のまま、アームウォーマーを外した。

手首から肘の手前まで、包帯で覆われていた。

それだけで、僕はすぐに理解した。

一瞬、気まずい空気が流れた。

謝った方が良いのかな?

そう思いながらカナデを見た。

「治りかけてはいるけどね。」

カナデはそう言うと笑った。

カナデは常に白い肌をしていた。

カナデのバンドメンバーであるリュウも色白だけど、単に焼けてないリュウとは違った。

細身でもあった。

それも、細いというより、痩せていると言った方が正確だった。

そんな見た目なせいか、どことなく病的な印象も持っていた。

実際カナデは、少し体が弱かった。

体調をよく崩すと、リュウが以前言ってたっけ。

入院も何回かした事があるらしい。

対してカナデ本人は、その事にあまり自覚を持っていなかった。

バンド活動も出来るし、普通の生活も送れてるから問題ないと、カナデは笑いながら言った。