「みらいいろ‥3月11日‥」


(六)

ふと目が覚めた。

既に朝になっていた。

時刻は、8時ちょっと過ぎ。

昨日の事は、悪い夢だった。

そうであって欲しいと思いながら起きあがる。

部屋は昨日のまま、散乱した状態だった。

ああ、現実だったんだ。

そっとベッドから起き上がる。

何だか、いやに静かだな。

そんな事を思っていると、不意に電話が鳴った。

「もしもし。」

「無事だったか。」

一瞬の間の後に聞こえた、低い声。

電話の相手はフジだった。

「良かった。フジも無事だったんだね。昨日は繋がらなくて。」

僕は小さく息を吐いた。

「昨日さ、あの後すぐ帰らされたんだけどさ、電車止まっててどうにもなんなくてよ。仕方ないから、歩いて帰ってきたんだ。」

苦笑い気味に、フジが言う。

「すぐにみんなに連絡しようと思ったんだけどさ、疲れちまって。」

そう言いながら、フジが笑った。

「いやでも、無事で良かったよ。みんな心配してたよ。」

僕の一言に、フジは苦笑いを漏らした。

いつもと変わらないフジの様子に、僕は安心していた。